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塩野 七生
の売れ筋最新ランキング [2010年03月20日]
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ローマ亡き後の地中海世界(上)
塩野七生
¥ 3,150(税込)
在庫あり。
ジャンル内ランキング:40767位
カスタマーレビュー数:9
【
くちコミ情報
】
皆さん
上下ともに読ませて頂きました。読みやすく面白いストーリー展開です。西ローマ亡き後の地中海と、言ってもほとんどイタリアのお話し。特に、イベリア半島の状況はすっぽり抜けています。イタリアに住む著者が、イタリアの立場から見た世界史と言った方がいいのではないでしょうか。当然、十字軍のお話も出てきますが、キリスト教徒の暴挙は書かず、フリードリッヒ2世などは裏切り者です。キリスト教と言っても、それはほとんどカトリック教徒の代弁です。ごく僅かに予防線を張って、時々繕っている所が小賢しい思いがします。これを読んで、イスラム=残虐な民族と、理解する読者が居たら不幸なことです。所々にでる著者の意見には、私自身賛同しかねる所が多かったです。 参考文献の多くはイタリアのモノの様ですが、これらの作品を、もしイタリア語でイタリアで出版されたらいかがでしょうか?研究者の意見を聞きたいモノです。またイスラム側の言い分も聞いてみたい物です。
現在のアラブ・ヨーロッパ関係を読み解くヒントがここにある?
この上下間に渡る大著を一言で言えば、 「ヨーロッパ対アラブ海賊の戦いの歴史」。 最終的にヨーロッパ世界が反撃に出るとはいえ、記述の大半はいかにヨーロッパ人たちがアラブ人に苦しめられたかということだ。 『ローマ人』の爽快さと比べると、読んでいて少々気が重くなる作品でもある(『ローマ人』も末期のほうは、同じように気が滅入る場面が多かったが・・・)。 塩野さんがこんなことを意識していたかどうかはわからないが、本書を読んで私が一番強く思ったのは、 「歴史における強者と弱者の立場の逆転」 ということ。 ここ100年ほどのヨーロッパ世界とアラブ世界の関係を見ていると、アラブ人の国土を勝手に分割したり、ユダヤ人の入植を認めて混乱の火種を蒔いたりと、ヨーロッパ側の傍若無人さを非難したくなる人が多いだろう。 事実、私もそうだった。 だが本書で、いかに中世のヨーロッパがアラブ世界からひどい仕打ちを受けていたかを知ると、 「それもまたやむなし」 などと思ってしまうのだから、自分でも怖くなってしまう。 ちょっと重苦しい気分になるが、この時代のことを扱った本が少ないこともあり、いろいろ発見の多い一冊でもある。
教科書に無い世界
この時代の地中海は教科書には何も無かった。 イスラムの興隆、イベリアと小アジアからキリスト教世界を圧迫し、レコンキスタ、十字軍が起こる。くらいか。 イスラムとキリスト教の攻防の背景は日本人には分からないが地中海世界の海賊、拉致の中にそのヒントがあるのかもしれない。 これは英雄談ではないがヴェネチアが英雄に当たるのだろう。
パクス・ロマーナ終焉のちの地中海世界
本書は、「ローマ人の物語」以後のパクス・ロマーナが過去のものとなってしまった地中海世界について書かれています。主に、北アフリカのサラセンの海賊との攻防です。 文章は読みやすく、内容も著者の読者なら期待を裏切られることはないでしょう。 巻末にはイタリア各地域に点在する「サラセンの塔」のカラー写真が32ページ分も載っています。 ローマ亡き後の地中海世界(上)と ローマ亡き後の地中海世界 下があります。
時代が変わった。でも語り口は相変わらず。
久しぶりにこの桃色がかったクリーム色の地にエンジ色の帯の装丁の新作に出会えたのがまずウレシイ。正直もうおしまいと思っていたので。 これまで紀元前後の地中海世界を”物語”として語ってくれた著者は、歴史をただの暗記モノとしてしか勉強してこなかった私を素直に惹きつけてくれた。 その点本書も、海賊とそれを許した宗教国家と相対した者たちを掘り下げた描写で、歴史をドラマティックに見せてくれている。 ただいかんせん、英雄たちがかわるがわる登場した時代と違って、ワクワクするような面白さは味わいにくい。”地中海”と、幅広に構えるには時代が単純ではなくなったのだろう。世界史オンチには読了にちょっと時間がかかった。 でも、下巻も読みたい。
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塩野 七生
¥ 420(税込)
在庫あり。
ジャンル内ランキング:7217位
カスタマーレビュー数:65
【
くちコミ情報
】
ストーリーと歴史家の評論と著者の感想が入り混じる不思議な物語のはじまり。
これは歴史小説ではない。ノンフィクションでもない。歴史を振り返りながら、自分の考えをエッセイ的に織り交ぜた実に不思議な読み物である。「ローマ人の物語」とは実に考え抜かれたタイトルということができそうだ。 第一作はローマ建国から第一次ポエニ戦役直前までの五百年間を取り上げるとあり、実に長期間であるが、文庫本では[上][下]に分かれているので、実際には紀元前七五三年から前五世紀半ばまでである。 主に王制ローマの7人の王について駆け足で紹介している。 建国の父ロムルスが政体確立につづいて行った第二の事業が、「他民族の女たちを強奪すること」というから驚きだ。「祭りの気分も高潮した頃、ローマの若者たちはサビーニの若い女たちに襲いかかった」という。 第六代のセルヴィウスが自分の二人の娘を先代のタルクィニウスの二人の孫と結婚させるのも面白いが、セルヴィウスの娘が自分の夫をたきつけて父を追い落とし、父である王の最期は自らの馬車で轢いたとあるから、遠いおとぎの国の物語にしか聞こえない。 最後の王タルクィニウス(先代の孫)は、市民集会での選出も元老院での承認もなく王位に就いたとあるから、なぜそれで25年も王で居続けられたかは不思議である。 共和制ローマの記述は時間にしてわずか6年である。しかし、初代執政官であるルキウス・ユニウス・ブルータスや、ヴァレリウス・プブリコラの逸話も面白い。
初心者に最適
古代ローマなんてはっきりいって映画とかで戦ってるシーンでワクワクしてた程度。 それが民主制への試行錯誤、国としての成り立ち、諸外国との外交などなど、興味深いことばかりでした。それにキリスト教以前は多神教だったため、非常になじみやすい(笑)なんでも神様にしちゃうところがなじみやすいが、それが現代にまで連綿と続く日本という存在も改めて考えさせられました。 いろんな偶然が「必然」に変わっていき、それが大変な発展につながったり、えらい大問題になったりと、そういう様々な事件を平行しながらも混乱させずに整理してくださっているのでとても読みやすいです。 私のような無知に近い人間でも「フムフム」と読めるので興味のある方は一読をオススメしますね。
年表として読むよう薦めます
これからこの長い読み物の世界に入ろうとされる方へ。 ローマの建国から語り起こされる塩野版ローマ史は、高校教科書にプラスした編年的雑学知識を得るには、専門書のように堅苦しくなく、お薦めといえます。 ただ、読むにあたって3つのことに留意していただきたいと思います。 まず、これでもか!というくらいの悪文です。熟語の使い方から「てにをは」に至るまで日本語の常識とは一線を画しています。ときには半ページも遡って「自分の日本語」に翻訳する必要に迫られます。それら独自の表現・用語・文法が常用され、読む際の強いストレスにすらなります。 2つ目は、ローマ史を語る際の著者の批判的視座が見えず、それも「古代ローマとその指導者たちはとにかくステキでいつも正しいのよ!」と言いたいのではないかと思えるほど単純明快なローマ万歳の書です。そしてその論拠として常に引用されるのがマキァヴェッリ(マキャベリ)で、ローマの敵たちも現代社会もマキァヴェッリの言葉を引用して痛快この上なく一刀両断されていきますから、本書にも頻用される著者のお好きな言葉で言えば「微笑を禁じ得ない」ものです。 最後に、上記のような単純マキャベリズム史観?でもあるせいか、主に「ローマ人『指導者』の人物史」であってローマ社会を立体的に述べたものではありません。例えばローマ市民は、著者が思い入れた指導者の政策や選挙に市民集会で賛成あるいは反対するマスとしてしか登場しません。また、随所に「研究者は○○○だというが、私は△△△ということもあったと思う」と著者の見解が「既成ローマ史アカデミズム」?への批判として対置されますが、ほとんどの場合、納得できる論拠が示されることはありません。言い放しです。概して著者の「我が心のローマ英雄史」と心得るべきでしょう。 こうした点を理解した上で、物語型の年表として利用するなら、ベッドに寝っ転がって読める、そしてときには手に汗握る(とりわけ第2次ポエニ戦役やガリア戦役)ところもあり、なかなか面白い作品だと思います。
いい意味で
塩野さんは学者さんらしい人だと思う。これだけ素人に分かりやすく、面白く書けるということは相当勉強されているし、頭も良い人なのだろう。それから最近ありがちな怨念で書かれた歴史ではないので読んでいて気持ちがいい。古代ローマが本当にお好きなんでしょうね。
ローマ建国の歴史を知りたい方にお勧めします
学生時代の歴史の教科書では知り得なかったローマ建国の歴史について、懇切丁寧に書かれています。初代王ロムルスから、共和制、帝政と続く、ローマの歴史を一から勉強したい方にお勧めします。
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ジャンル内ランキング:22703位
カスタマーレビュー数:13
【
くちコミ情報
】
平然としていた
塩野七生さんの小説を読むのはこれが初めてです。 司馬さんの小説が好きであり、日本の歴史にとても興味を持たせてくれたので。世界の歴史も興味がもちたくこの小説を読みはじめました。 最初の150ページ程読むまでしんどかったです。人間に的を当てて物語が進むのではなく、会話文もほとんどなく、勉強の講義を受けてるような感じで。 しかし!そこを越えたら、凜とした文章が小気味よく、非常に好奇心を掻き立てられました。 ヴェネツィア人が国交断絶されても破門にされても破門にした側の宗派の人々と同船している時にも「平然としていた」など、なんだか可愛らしくまた面白いです。 読み終わる頃には塩野さんの文体も愛おしく、ヴェネツィアにも興味が湧き、物語の展開も気になってしかたなくなりました。
驚くべきヴェネツィア1千年の歴史
4年前にイタリア旅行をした際に水の都と言われたヴェネチアに2泊滞在した。運河も街並みも聖マルコ寺院もすべてが美しく趣きがあり、同じ古都でもローマやフィレンツィアとは異なる魅力溢れる都であった。 ただ、その折に本書を既に読んでおり、現在は観光が唯一の産業であるヴェネツィアが、8世紀以降約1千年に亘って貿易都市国家として地中海を支配していたことを知っていたなら、その旅は更に感慨深いものがあったであろうと思う。この6巻に亘る大作には、ヴェネツィアという人口10万人程度で始まった小さな都市国家が、かくも長き繁栄を続けることができた理由が、実に生き生きと描かれているからだ。 大きな理由の一つは民主主義と君主制の中間のような独自の政治体制を整えて権力の集中を防ぎ、ヴェネツィアという都市国家の繁栄を守るためにそれを維持し続けたところにある。その結果、ビザンチン帝国、ライバルであるジェノヴァ、そしてオスマントルコ帝国といった強国の間で、経済力と情報網と政治力を駆使して生き抜くことができた。 人口が少なく強力な陸軍を有することができないこの国には理想や夢を語る余力はなく、常に現実主義者として合理的な行動を続ける必要があり、時にはイスラム国と妥協も重ねたため、ローマ法王庁や他国からは非難を受けることも度々であった。ただ、その現実的で合理的な行動を取るために折々の貴族達が必死に知恵を絞り、時には命を投げ打つ必要さえあったわけで、決して安易な道のりを選んでいたわけではなかったこともよく理解できた。 現代日本とは規模も時代も異なるため比較の対称にすることは適当ではないかもしれないが、同じ貿易に生きる国としては学ぶことも多々あると感じた。
ヴェネツィアのあけぼのから第四回十字軍まで
著者によると、ヴェネツィアは、アンチ・ヒーローの国であり、英雄がきら星のごとく輩出する古代ローマとは全く異なるそうです。 確かに、高校の頃に学習した世界史のヨーロッパ中世史でも、イギリス、フランス、神聖ローマ帝国等については結構教科書に書かれていましたが、イタリアについては、ローマ法王庁とルネッサンスに関わって出てくるぐらいで、ヴェネツィアに至っては、「そのような国があった」という程度でしか触れられておらず、影が薄いことは否めません。 しかし、そのような国が、現実には、周りの強国と互角に渡り合い、1000年間も存続していたというのですから、どのようにして国が興り、発展してきたのか興味がわくというものです。 本書では、ヴェネツィアの誕生から第四回十字軍までが扱われています。ヴェネツィアがローマ帝国の時代に誕生したというのは初耳でしたし、ヴェネツィアがローマ教皇から破門されても平気だったわけが、本書を読んで良く分かりました。
ヴェネツィアのイメージが変わりました
高校の時、世界史を選択していたのですが、その頃に勉強したヴェネツィア商人のイメージと言ったら、正直悪かった。 「自分の利益のために第四次十字軍を誘導して、ビザンチン帝国を滅ぼした」だの、「香辛料貿易を独占し、他の国を締め出していた」だの、「自分たちの利潤のためなら平気で敵であるトルコに寝返った」だの。シェークスピアの「ヴェニスの商人」そのまま、ごうつくばりの集団というか…。 なので、ヴェネツィアという国家にはあまり魅力を感じていなかったのですが、著者の「ローマ人の物語」が面白いので買ってみました。(本当はこちらの方が先行作なのですが) 何というか、読んでいるうちに、すっかりイメージが変わりました!ヴェネツィア人かっこいい。なんてユニークな国家だったんでしょう。イタリア統一して、一都市になってしまったのが惜しいくらいです。(イタリアの方すみません)上記のあのヒドいイメージが、ヴェネツィアの立場からはまったく違って見えてくる。 どんな旅行記や写真集より、ヴェネツィアの魅力満載の本です。 第1巻は、ヴェネツィアのはじまりから問題の第四次十字軍の時代まで。ヴェネツィアの立場から見た地中海の中世をぜひ体験していただきたいです。
内容は良いが、謎の再版・・・
この本が出た時には、家族で夢中になって読み漁った。 最近の著者の文章はいささかくどくて読みにくいが (ローマ人の最後のほうなど)、この本はサラリと 書かれているし、分量も適度で読みやすい。 しかも土地がなく、交易に頼って生きていかざるを 得なかった「共和国」(当時は珍しかった)の盛衰を ドラマチックに、航海という技術的要素まで盛り込み ながら巧みに描いた本書は、著者の最高傑作 といえよう。 ただ、ローマ人が終わった段階で、再び文庫本を、 しかもかつては上下巻二冊であったものを細かく 割って再版するのは、金もうけのためとしか思えない。 確かに文庫としてはごつくなるが、二分冊でも十分 読みやすい厚さだった。この点で★★減点。 この厚さでなきゃやだという人でなければ、旧版を 探したほうがよい。
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男磨きの参考書
著者の鋭い男性観察にたじたじとなる本。私のようなだらしない男には色々手厳しいことが語られているが、フツウの男を一人でも多くフツウでない男にしようとする著者の提言を参考にして、手遅れかもしれないが男磨きにでも励みますか。それにしても著者が求める「フツウ」のレベルが少々高すぎはしないか、と思うのは私だけでしょうか。
自己弁護
半分あたりまで付き合ったのだが、読み進めるに耐えられず本を置いた。 男たちへ…? 本当にそうなのかな。 これを痛快と感じる方もいらっしゃるのでしょう。 男性へ。 買うなら少なくとも最初の一章でいいから立ち読みしてからを強く勧めます。
魅力的な男になりたい
副題にあるように、女性にとって、というより塩野七生さんにとって魅力的な男とはいかなるものか、というテーマにそった文集である。あくまでも軽いノリの文章だし、ここに書かれていることを鵜呑みにして真似をすればいい男になれるわけでは決してない、と文中にも指摘してもある。それでも、男の私としては、半分くらいはマジで読んでしまい、このような知的で魅力的な女性からイイ男と見られるようになりたいものだなあと思った次第である。 自分にあてはめてみると、ファッションについては、‥‥うーんこれは将来的な努力目標とさせてもらいましょう。内面的なことや行動面のことでは、男は楽天的であれ、ということに大いに共感した。男から見ても、例えば部下が惚れ込んでしまう上司とは、困難な状況に立ち向かいつつも常に楽天的な姿勢を持つ器の大きな人物である。そのような男に、なりたいものだ。 本書には、著者の女性としての感性が伸び伸びと表現されている。これを読んでから、「ローマ人の物語」を読み続けてみると、なるほどこれはローマの歴史を飾った数々の魅力的な男の物語なのだなあ、と思えてきた。特に現在読んでいるユリウス・カエサルには、塩野さんぞっこん惚れ込んでいるようだ。そういう意味では公平な歴史とは言いがたい面もあるのかも知れないが、読むのにはおもしろい。
男の本質に迫っているとは言えない
雑誌に連載されていたエッセイを集めた本というのは作者が日頃からよく考えていたことを述べているものと締切に間に合わせるために適当な味付けをしただけのものが混在するのは仕方ないもので、この本も半分くらいは女の視点から男をこんな風に批評するのかと感心するものもあるが、残りは男の外観とか男の心理の表層的なところまでしか切り込んでいないものがあり、不満を感じる。本来、男は女が男をどう見ているか、その深い部分に触れたときは新鮮な感動を覚えるものがあり、逆に女も男について同じことが言えるだろう。そういうものがここにはあまりない。最初に丹波哲三、向田邦子、和田勉の鼎談の紹介が出てきて、これは面白かったが、後は男に関する女の意見として参考になるものはあるにせよ、感心するほどではない。 「ローマ人の物語」というあれだけの大作を仕上げた人がこれほどミーハー的であったというのは失望した。
読み進むうちに『ウーン‥』と唸らされる。 読むべき一冊。
鼻につく箇所も沢山あるが、しかし、「ナルホド」と思わせる主張とそれを読者に分り易く伝える論理展開や文章構成の巧みさが素晴らしい。
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「ローマ」から湧き出るような歴史や文化の香りは感じられず。
塩野先生と言えば、当代屈指の「イイ男評論家」。歴史上の偉人たちはもちろん、現代の男の生き様にも一家言持っており、『男たちへ』『再び男たちへ』というエッセーまで書いているほど。そんな塩野先生が手塩にかけて育てた息子はどんな人だろう?という興味もあり、手に取りました。 映画論を中心にした中身は面白いことは面白いのですが、(今は亡き)月刊PLAYBOYに連載された対談をまとめたものだけに、なんだか軽い。紙幅の関係もあったのか、これからというところで話が終わってしまっていたり。タイトルに『ローマで語る』とありますが、別段ローマでなくても成立する対談です。ローマという地名から湧き出るような歴史や文化の香りは、僕には感じられませんでした。 また、親子なのに敬語で他人行儀なところも、最後まで違和感をぬぐえず。
来年の目標
影響を受けやすい私は、来年の目標に「映画を百作品みる」を掲げました(笑)。無理に芸術論にならず、映画が好きな人の会話、が収まっています。内容の善し悪しはともかく、読み終わる頃には無性に映画が見たくなりますよ。
親馬鹿ちゃんりん(笑)
塩野七生って、もしかして世に言う「馬鹿親」なのかな…って思うときがあります(悪い意味ではなくて)。 この本では、いわゆる「ぷー太郎」の息子と映画の話をしています。 話の内容は…すっごい思い込み(笑)。でも、好みなんて所詮個人の思い込みだから、この方が気持ちいい。 ○実○彦大先生のご高説読むより、ずっとその映画を観たい気にさせます。 ところで、塩野七生の書くものの端々から、この人はホントに愛情が多い人なんだと思うことがあります。 ローマ人のカエサル書いてるところなんて、ほとんど恋人自慢を読まされているみたいで嬉しくなってきます。 塩野七生から、人生や経営なんかのヒントをもらおうなんて馬鹿なことを考えずに、あふれる愛情を眺めて喜ぶべきかと思います。
塩野七生の映画エッセイ、再び
『人々のかたち』以来待望の、塩野さんの映画エッセイ。ハリウッドやイタリアで映画製作に携わる息子さんとの対談という形をとっています。雑誌に連載されたものなので、一つ一つ区切りが短く読みやすいです。とはいえ母と息子という雰囲気は、いい意味で薄め。 お互いの映画観や監督観、さらにはシチリアで映画撮影をする際の、笑っちゃうけど笑えないマフィア問題まで、『映画』の魅力を並べて見せてくれます。作品セレクトは、ヴィスコンティからスパイダーマンまで幅広く。自分は『300』が見たくなりました。子どものころから古典に親しむ国の高校生は、あんな楽しみ方もできるのかと苦笑。"Tutti a casa"、日本でもどこかで観られないものか。 ちなみに「作者」二人の写真は、裏表紙に小さく印刷されているだけ。とても暖かい雰囲気です。 お互いこんなに面白い話ができるとは、素敵な親子だと思います。
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チェーザレの魅力満載
古い本だが、久しぶりに読んだ。きっかけは、先日読んだ惣領冬実の『チェーザレ』が面白くて、改めてチェーザレ・ボルジアのことを知りたいと思ったからだが、こちらの本もそれに負けず劣らず、面白かった。 チェーザレとダヴィンチの出会いもさらっと触れられているが、塩野はこの二人を高く評価しているのがよく分かる。この辺をもっと膨らませたものを読んでみたい。 ヨーロッパの中世、ルネサンスの頃は、なぜ、こんなに小説やコミックの題材になるのだろう。魅力的な時代だとは思うが、日本人が惹かれるのはなぜだろう。ちょっと、不思議。
緊張感のある「文章」の魅力
面白くなって読むのにエンジンがかかってきたときに、イタリアの地名と人名が壁となって立ちはだかる。わたしは、読書に関してお世辞にも忍耐強いタイプの読者ではないので、並の本であればすぐ嫌気がさして読み終えずに本棚にぶち込む。けれども、本書は読み終えた。きっと、著者の物語の運びが巧みなせいだろう。チェーザレ・ボルジアという青年に魅入られたせいもある。著者の文章が洗練されていて好みにあっていた。 印象に残ったのは、ピウス3世が在任わずか1カ月で亡くなって後任の法王を選出する場面の叙述であった。チェーザレはローヴェレ枢機卿と取引をして彼が法王となるのに手を貸した。塩野七生はいう。 「彼は、賭に、というよりも政治に負けたのである。」
歴史書を読み慣れた人には読みにくい?
作者の思い入れが強すぎるせいか、そののりについていけない人には、かえってはじき出されるような疎外感があります。 一般的な歴史書の淡々とした記述の方が速く読める方には、この小説仕立ての本は、ものすごく読みにくいかもしれません。 チェーザレの人生については、同じ作家による『ルネッサンスの女たち』の中のルクレツィア・ボルジアの項目でおおまかに理解できますし、その方がわかりやすいようです。
ダンディズム
実際のところ何を考えていたのか?は分からないのですが、塩野さんの推察(恐らく多大なる資料からの!)から立ち上るチェーザレ・ボルジア像です。 目的の為(が、自身の野望なのか、はたまたそれを達成した暁に実現する事のできる崇高なる何かなのか)の手段をより現実的に、または常識に捉われずに判断する事難しさとその判断に伴う重みを瞬時に受け入れる覚悟を持つ(!あるいは、無かった事にする!)、野望ある人物の物語です。ですから、非常に魅力的でもあり、恐ろしくもあります。私が考えるには、自分勝手な野望の為に使えるものは父の権威だろうと、妹の結婚であろうと、あるいは、1度ならずとも共に手を結び、戦った人を裏切ろうと、自身においての正義でも、もちろん相手には都合の悪い物事であろうとも、です。そのチェーザレの都合、見方に面白みを感じました。が、当然嫌な男でもあります。裏切りを行った相手に裏切られるチャンスを与えてしまう事は、たとえそれが病気であったとしても、自身のミスと私は考えます。野望に沿って行った事を、行われた相手からされるのはまさに、仕方の無い事です。 物事には秩序や常識があり、それを壊す事も必要です。壊す事のできる人物は壊した後は個人的には引き下がるべきと考えます。何故なら壊した後の秩序を壊したものが作ることはエゴの押し付けに他ならないと考えるからです、たとえかなりの正義なり、正しさが含まれようとも。塩野さんの非常に強い憧れなり、シンパシーを感じる人物なのでしょうけれど、面白くはありましたが、私には、シンパシーまでは感じませんでした。チェーザレが亡くなった後、彼の壊した秩序を利用した、または新たな秩序を立て直すのに苦労する事になったであろう部分の歴史が気になります。裏切り、テロ、毒殺などは行うことは簡単ですが、その先が非常に難しい世界になってしまうことを私たちは知ってしまいましたから。 しかし、それでも、チェーザレ・ボルジアという人物には確かにひきつけられます。傭兵(お金で雇われた戦闘をする軍人)だけの世界から、自身の地域(あるいは国)を守る為の兵の必要性を考えたり。塩野さん以外の方のチェーザレ像がきになります。 イタリア史に興味のある方にある種のダンディズムに興味のある方に、もちろんチェーザレ・ボルジアに興味のある方にオススメ致します。
ボルジアの悪いイメージが払拭
ボルジアというと「毒」がキーワードだが、塩野はそうした悪評や風評を完全に覆し、説得力ある歴史物語としている。 たとえば、本書で登場するマキャベリは、教科書では「独裁者」とか冷酷非情といわれていたが、決してそんなことはないようだ。ダビンチだって、ただの画家ではなく、都市建設設計者として登場する。しかも、2人ともチェーザレを慕い、尊敬さえしている。まさに目から鱗の感じだった。 日本史にしても世界史にしても、日本ではバイアスがかけられているようだ。歴史認識を正しくもてない民族や国は早々に滅びるものである。 本書はそうした警告も含めた力作といえる。
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簡潔にして的確な、マキアヴェッリ思想の抜粋
マキアヴェッリの君主論と政略論からの抜粋を中心に構成された本。塩野さんは、リーダーのあるべき姿を説くことが多いが、本書も政治家に限らず人の上に立つ人には是非一読することを薦めたい。 「抜粋」という形をとったので、マキアヴェッリの生の声に触れることができるとともに、重要な言葉だけを浮き彫りにしているので、現代にも通じる彼の思想の普遍性に驚き、かつ親しみを持つだろう。 また、各抜粋は1〜2行にとどまるのはごく少数で、なぜマキアヴェッリがそう考えるか彼自身が語った部分を含めて文庫本約1頁程度の分量になっている。そしてその中で真髄となる部分を太字でハイライトしている。例えば太字でハイライトされた語録の一つに「結果さえよければ、手段は常に正当化される」があるが、これは一人歩きして使われがち。本書では、彼がどういう文脈でそう述べたのか、前後も的確に、かつ長すぎることがなく抜粋しているので、真意がつかめる。まさにマキアヴェッリの思想のエッセンスを抽出した、現代社会にも応用できる箴言集だ。
”語録”だが、これはこれで一冊の味わい
マキャベリのいくつかの著書から主要フレーズを集めたもの。だが、そこはさすがの塩野氏の手によって、マキャベリの極めて客観的で現実的な言葉の数々を、大きな一つの流れの中で堪能できる仕上がりになっている。「君主論」の後に本書を読んだこともあって、他の著作にある言葉で「君主論」の論考を補強できたような気がする。別の言い方をすると、マキャベリはあらゆる著作を通じて一貫した視点で現実を見ていたことが伺える。やはり、それぞれの著作をじっくり読むに越したことは無いが、本書でエッセンスをつかめるので、時々パラパラと振り返りたい一冊。
日本が生き残るために国民が読むべき本。
日本人は平和ボケなんて言葉もある。日本人はとにかく優しすぎ、世界中の人や国家が助け合うものだと、日本世間の常識を国家間の関係にも無意識に持ち込んでしまっているのではないだろうか。それも、左巻きから保守派、国粋主義者までが。そんなことは無い。世界には善意と共に日本を潰す、乗っ取る、弱体化させようとする者が沢山いるのである。近代社会の一部となっているマキアヴェリズムに、我々を含めた国民がもう少し精通してもいいのではないだろうか。
抜粋しちゃえっていう企画が素晴らしい
マキャベリの骨の髄の部分を著者が抜き出して並べておいてくれてる本。 効率的と言う意味ではこれ以上の本は無い。 マキャベリの「考え」を読んでいると錯覚してしまうとこの本の価値は半減する。 マキャベリという天才の目を通して見える単なる「現実」の羅列だと認識したときにこの本の価値は倍増する。 面白い。
16世紀⇒21世紀
16世紀の本だけ、今に通じる。 人間の本質は変わらないということだろうか。 20代で読んでいたらきっと分からないだろうことが、 働き出して10年の今、30代で読むと、 自分なりにいろいろと学べることが多い。 肝に銘じておくべき事柄が多々あり。 頭での理解ではなく、肌での理解ができる。
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それは「見たい、知りたい、分かりたいという欲望の爆発」
日本史脳の私は中学生レベルの世界史も怪しい状態ですので、「ルネサンス」と言われても「ヨーロッパ」とか「文芸復古」とかのキーワードしかでてきません。そのレベルの私には難しいかと思いましたが、「ローマ人の物語」が読みやすかった塩野氏の評論であり、タイトルにも惹かれ本書を手にとりました。 塩野氏は冒頭、「見たい、知りたい、分かりたいという欲望の爆発が…(ルネサンスという)精神運動の本質」と端的に表現します(分かりやすい!)。 そして、対話形式で、しかもルネサンス期の活動の中心であったフィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアを順番に辿り、それぞれの街で花開いたルネサンス活動とその中心人物の功績を紹介していきます。 世界史オンチの私は登場人物の半分も知りませんでしたが、それでもルネサンスの躍動感のようなものは感じることができ、当時の芸術にも興味が沸いてきました。巻頭と巻末に掲載された人物一覧と人物評伝も理解を促します。 歴史と人物を知らないとちょっと難しいかもしれませんが、それでも入門書としては十分すぎるほどの内容かと思います。やはり(歴史家ではなく小説家として)イタリア歴史ものといえば塩野氏、といわざるを得ない面白さ。世界史オンチの人にも是非読んで欲しい一冊です。
納得した
ほかの方も書かれている通り、ルネサンスへの解説は対話形式。 これのおかげで、頭にスッと入っていきやすかったですね。 内容ももちろん面白いのですが、個人的にツボだったのが巻末あたりの三浦雅士さんとの対談。 塩野さんの文章を読むときの快感について話して下さっているところがあって、ああ、そう、それ、それなんですよ、と一人で勝手に喜びました。同時に、やっぱりそう思っている人が多いんだろうな、とニヤリとまた勝手に嬉しくなり。 おかげで一粒で二度おいしい本となりました。
最高に面白い。
「こんな素晴らしい本が文庫で手に入るなんて良い時代だなあ」というのが読後の感想でした。 謳い文句としては「40年にわたるルネサンスへの情熱が込められた最高の入門書」とのことですが、本当に最高。入門書とかそういうカテゴリーを取っ払っても、最高に面白い本です。 対話編になっているので、問題点・疑問点・注意点が浮き彫りになり非常に理解しやすい! 著者が「見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発」であるとするルネッサンスがとのようなものであったのか、本当に上手に説明するなと感心します。 後半に付いているルネサンス時代の「主役たちの略歴一覧」も写真入りで便利だし、文庫のみに付いている巻末の三浦雅士との対談は他の塩野七生作品や、塩野七生自身を理解する上でも有用です。 流石に世界史や西洋美術史についての知識が全く無い方が読むのは辛いかもしれませんが、ルネサンスに興味がある方は読んで損はありません。本当に面白かった。
近世全体を俯瞰させてくれる名著
素晴らしい著作です。 平易な文章ながら、今までの私の「ルネサンス」の知識をひっくりかえすだけの説得力のある文章です。 単に「ルネサンス」に留まらず、暗黒の中世以降の「世界史」を見事に体系化してくれています。今までの「世界史」の知識が、一つ一つの「点」で、それを「直線」に、更には「平面」に、ついには「立体」にして見せてくれます。 構成的にも、フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアと「ルネサンス」の移りゆく様子を、その年ごとに描いています。 更に、その間に「大航海時代」を見せてくれます。 「主役たちの略歴一覧」では、フランチェスコからシェークスピアまで50名を超す「ルネサンス」に関係した人たちが載せられています。 巻末には、三浦雅士氏との対談もあり、サービス満点の構成です。 この本を読むことによって、「ルネサンス」だけではなく、それと関連して「宗教改革」「大航海時代」「啓蒙主義」なども、その先のフランス革命、産業革命までも臨める近世全体を俯瞰させてくれる素晴らしい本でした。
「気質」で逃げられても困るよなぁ
近年ではローマ史の第一人者と目される塩野氏が題名通り「ルネサンスとは何であったのか」を対話形式で解説した本。 冒頭でいきなり「見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発」との解が示される。これでは常識の範疇だし、一頁で終ってしまうので、以下具体的な人物・時代背景等を採り上げて説明がなされる。カエサルやマキアヴェッリと言った著者の贔屓は置くとして、注目すべき人物が紹介される。第三階級を定義して宗教を一般に開放した聖フランチェスコ。時代に先駆け、政教分離を試みたフリードリッヒ皇帝。出版事業の成功により知の普及に貢献したアルド。彼等がルネサンスの端緒になったと言う論は流石に鋭い。ルネサンスが精神的改革であり、その裏には経済的余裕と宗教の束縛からの解放があった点も明快である(自明だが)。だが、私の最大の関心事である「なぜルネサンスの中心がフィレンツェだったのか」についてはハッキリしない。経済的繁栄だけが理由ならヴェネチィアでルネサンスが華開いてもおかしくない。著者はその理由をフィレンツェ人の気質に求めるが、「気質」を持ち出されてもねぇ。そこを克明に分析して欲しかったと思う。パトロン(メディチ家、ボルジア家)の有無は関係ない。他の都市でルネサンスが起こっていれば他のパトロン名が今に残っているだけだろう。ダ・ヴィンチの評価・分析が粗雑なのも気になる。第二部「ローマ編」以降はルネサンスとは縁の薄い「ローマ人の物語」であり、本書の趣旨から外れるだろう。 著者が引用するカエサルの「人は見たいものだけが見える」の言葉を地で行った内容で、「ローマ人を愛し、フィレンツェ人の気質が分かる」人だけが納得出来る作品と言えよう。
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知らなかった歴史を知った喜び!
西欧人が千年もの間、奴隷狩りされ奴隷にされ続けていたなんて知らなかった。 それを知っただけでも、読む値打ちがあった。 ローマ人の物語全15巻読破した余勢で読み始めたけれど、全く違う読後感。 しかしどちらも歴史を知る喜びがあった。著者に感謝したい。
中世の地中海世界は、何故一千年も海賊対策に明け暮れたか
海賊のキリスト教世界への侵入が始まった652年以降、海賊対策に明け暮れた一千年の地中海世界の歴史です。生活の糧が得られ、生活の安全・安心を保障してくれていたパクス・ロマーナ(ローマによる平和)が崩壊した後の、海賊による脅威にさらされ続けた時代の地中海世界を主にキリスト教国側の海賊対策の視点から活写しています。庶民の安全が保障されることが産業や文化の発展に直結することを、海賊の脅威にさらされ産業や交易が衰退し文化が退化した中世の地中海世界の歴史から示している。 附録:民族によって異なる海賊対策では、ローマ帝国、ヴェネツィア共和国、スペイン王国の海賊対策とその有効期間を比較している。現代ソマリア沖の海賊対策の有効性を推察するにも参考となる。 著者のローマ人の物語等と同じく、いつものように一気に読める文体と地図、図、表、写真を駆使した親切な構成で長編歴史物語に没入・魅了させてくれます。
どうやって、読者をはまらせるか?
本の内容の評価は良い悪いは別にして、作者自身が読者にうまく内容を噛み砕いて表現していることを一番評価しています。ローマ人の物語もそうなのですが、見やすい地図や表が必ず途中に出ていて、読んでいてもストレスがなく、カタカナの地名が連続して出てきても、近くのページの地図を追いかけていけるので頭が痛くならなくて良いです。その地図も結構工夫がされていて、本の内容に合わせた地図が出ています。 今まで読んできた本の中には地図がなかったり、いまいち痒いところに手が届いていなかった場合が多く、地名のカタカナが連続して出てくると、日本語に見えず、何かの記号の羅列に見えてきて、めんどくさくなって挫折するか、読み飛ばすかしていました。自分は日本人で、日本史なら地図なしでもある程度イメージできます。あまりマニアックな地名だと困りますが。しかし、いきなり外国の地名が出てきてもなかなかイメージできません。距離感がわからない。そのような不親切な本をいったい誰に向けて発行しているのだろうか?出版社の人はその本を読んで「日本人でもわかりやすい」「日本人でもわかる」と思っているのか? 出版業界は大変だと聞いています。しかし、売れる本は売れるんだと思います。ローマ人の物語や今回の上下巻の評価すべきところは、文章もさることながら、痒いところに手が届き、ストレスを与えない構成です。それがあるからこそ、本にのめり込めるんだと思います。
地中海からの西洋史
塩野先生の著作はローマ人の物語、ベネツィアの物語をはじめ一部の女性物を除いて多くを読ませていただきました。我々が世界史でヨーロッパの歴史として学んだ中世はイギリス、フランス、ドイツが中心でせいぜいローマ法王が出てくるだけでした。トルコとの関係もせいぜいコンスタンチノープル陥落とウィーンの攻防戦ぐらいのもので1000年に及ぶ地中海での覇権争いなどたぶん習った覚えはありません。とても勉強になりました。 地中海はマグロをはじめとする漁業、モロッコ?のマツタケなど現代の日本経済にもある程度の関係を持っています。教育でもこの方面の歴史にもっと光を当てるべきでしょう。
平和がどれほど貴重な事か
平和であること、安心して暮らせることがいかに貴重なのか、改めて思います。ローマによる平和なきあとの地中海世界の恐ろしさがいやというほど(救いのあるエピソードもありますが)書き綴られていて、愕然とします。海賊がどれほど地中海の人々の脅威となったか、アウグストゥスが知ったら酷く悲しんだでしょう。 「ローマ人の物語」特に「パクス・ロマーナ」と併せて読むと、社会は線型に進歩していくものじゃなくて、前にも後ろにも、真直ぐな道も、歪んだ道も歩むものだと思わされます。
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独裁を徹底的に阻止した国、ヴェネツィア
本書を読んで、最初に驚くのは、ヴェネツィアという国の、徹底して独裁者の出現を阻止しようとする、いささか神経質とも思える程の、慎重な制度設計についてです。 詳しくは本書を直接読んでもらいたいのですが、ここまで、集団指導体制の構築・維持に腐心し、そして成功した国は、古今東西を見渡しても、他にはないのではないでしょうか。 今の国々にも、充分に参考になると思われます。その合理性には、驚嘆するばかりです。
ヴェネツィアの商売と独特の政治体制
文庫第2巻はヴェネツィアのヴェネツィアたる特徴を、その経済と政治に求め解説していきます。 第3話のタイトルはそのまま「ヴェニスの商人」。そうだ、そういえば、かのシェークスピアが書いたのは、まさにヴェネツィアの商人だった…とはいえ、塩野氏がその行動や考え方を紹介する現実のヴェネツィアの商人は戯曲に描かれる商人像とは異なり、合理的で現実主義のまさに「商人」。海洋国家であることの特徴を活かしたベンチャーな商売の様子が詳しく紹介されます。 続く第4話はヴェネツィアの政治について。君主制が広がりつつあった時代に、あくまでも共和制にこだわり、かつ、権力の集中を極度に廃した独特の政体。「十人委員会」を中心とするその政体の運用は、現役の元首をも処刑するほど現実的に徹底されます。塩野氏が「資源をもたない国の工夫」と論じますが、ところどころにマキャベッリの至言が紹介されることで、説得力をもって解説されます。 物語としては退屈でしたが、ヴェネツィアという国を理解するうえで欠かせない2話でした。
ヴェネツィアの政治・経済体制
本書ではヴェネツィアの経済と政治について焦点が当てられています。前半はヴェニスの商人の姿について、シェークスピア作品に出てくるものとはずいぶん違う合理的な仕組みを構築していた姿がわかります。大きなカギは今風にいえばリスクヘッジということでしょうか。ヴェネツィアは経済面でこの技術にとても優れていたのだという印象を受けました。 また後半では、政治について記載がされていて、特に1297年に行われた当時の元首ピエトロ・グラデニーゴによる政体改革が今後のヴェネツィアを長命に導くきっかけになったとして紹介されています。この政体改革では権力の相互監視と権力の集中と分散の微妙なバランスが実現していますが、これは今の世界を見渡しても確かに塩野氏の言うように「いかに実害を少なくするか」という面に焦点を当てた仕組みといえそうです。本書の読了後に思ったのは、資源のない国の政治経済のあり方についてずいぶん日本にも示唆があるじゃないか、ということを塩野氏は暗に述べている気がしました。本書もお勧めです。
ヴェネツィアを考えて日本を思う。
塩野七海さんは、ひそかに憂国の士なのではないかと思っています。 日本もヴェネツィアのように、強く賢くあってほしいというのが、塩野さんの願いなのではないでしょうか。 海に囲まれた日本が貿易で財をなすことを、外国から批判されることがあります。 ですが、ヴェネツィア株式会社という考え方は、日本にそのまま当てはまるかも知れません。 内弁慶なのか、はっきりもの申さない美徳がそうさせるのか、日本は外国に尊敬されていないような気がします。
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