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   佐藤 優 の売れ筋最新ランキング   [2010年03月19日]
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カスタマーレビュー数:49

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小沢vs検察?
小沢一郎という政治家を好きでもなんでもないけれど、検察の恣意性がここまで高まっている状況は危険だと つくづく思う。「塀の中に落とす」という言い方がなんとも……。
検事とのやりとりは一読の価値あり。
佐藤優たちは時代の流れに巻き込まれた。 そして、巻き込まれたのは彼らだけではない。 私たち自身もいつの間にか巻き込まれている。 決して他人事ではなく。 それにしても著者の記憶力は圧巻。 検事とのやりとりは一読の価値があります。
小沢不起訴の今こそ読むべし
しかし、こんな本、出回ってていいのか。 検察官が「国策捜査」を認めている記述がある。 政治的に興味深いネタ満載の上、 「著者と検察官のやり取り」とか「上司との関係」など、 「男の世界」の読み物としての出色の出来だ。
読む価値のある一冊でした
検事と外交官の高度な頭脳戦が濃密な筆致で描かれている力作です。文字通り国策捜査であることを指摘する佐藤優氏に担当検事もあっさり認めています。現実にそういう捜査が行われていることに目から鱗の思いでした。 ロシア情報の収集工作の一環としてイスラエルで国際会議を開催する費用を日本だけが資金を拠出しているという奇妙な国際機関「支援委員会」の資金で開催したことで背任に問われました。しかし本書にもあるようにロシアとイスラエルの人脈の深さを考えると少なくとも事件化するような背任行為とはとても思えません。まさに国策捜査といわれるゆえんです。 著者が鈴木宗男代議士と共同戦線を組んで展開した二島返還工作は、二島で十分というのではなくまず二島からという戦術が四島返還論よりも現実性が高いと踏んでのことだったという主張は真実味がありました。著者が国家の利益と信じるもののために寝食を忘れて仕事に没頭したのも恐らく事実でしょう。 ではなぜ著者が国策捜査の対象になったかといえば、目的達成のためには説得よりも恫喝を使う鈴木宗男氏の威光を日常的に仕事に使っていたこと、そして情報収集と分析というインテリジェンスの世界の人間が守らなければならない領域を超えて、政策実現のための政治活動まで領域を拡大したためではないかという印象を持ちました。有能な人物が勇み足で失脚してしまったのは残念でなりません。己の能力に対する過信があったのでしょうか・・・
驚異の記憶力
本書についてのレビューは書きつくされているので、私の感想は「記憶術」の視点から述べたいと思います。 過去の会話、特に拘置所内での検察官とのやりとりについては、著者の細部にわたる描写に恐れ入りました。職業柄当たり前だろうと思えなくもないが、記憶を定着させるために払っている著者の努力に敬意を感じます。コップの水の量を見て記憶植えつけることができるし、時計があればさらに正確に記憶することができるといいます。別の著書によれば、文書を丸ごと音で暗記する方法も挙げています。おそらくこれは、会話内容を後ほど数回頭の中で復唱しているのでしょう(フラッシュバック)。週刊誌に掲載された記事よれば、ロシア駐在時代に重要人物と面会するにあたり、主要紙に掲載されたその人物の演説原稿を丸暗記してから臨んだとのこと。そうすることでメモなしでも相手の意図するところを記憶することができたそうです。 もっとも大事な点としては「絶対暗記しなければ」という動機自体とのこと。すごい秘策があるわけではなく、地道な努力こそ大事なんですね。


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くちコミ情報
一見の感想
日本という実態を取り出そうとすれば偽者としての外来物の模倣が加わってくる。それらをどかせば 日本語 と 歴史 くらいしか残らない。だがその両者とも大きく問題を抱えている。歴史学や国語学さえ外来の模倣だからだ。見出すならばそこにさえ個人主義を見つけることができよう。そこでさまざまな試みがありうる。 1930年代の対外的危機の時代に際して、「国体」を取り出そうとした試みを現代の危機に対してよみがえらせようとするもの。時間の幅としては当事者とはいえなくてもギリギリ同時代人が存命している幅であろう。 その手続きにまつわる理屈の上からすれば難点はいくつもあるし、社会という近代的概念そのものに個人主義がまとわりつき、社会の強化が国家につながるとすればそれも個人主義の範疇ではないかという疑問、また「個人としての認識や意見表明は、その時代の共同主観性を反映してなされると考えるならば、個人主義の背後に共同体が存在することになるので、この批判は該当しない。」P49というこの視点を拡張すれば全く別の世界が広がってしまう可能性があるので、ここはアキレス腱とみる。共同体が先か個人が先かというのは、鶏と卵のようなどうでもいい議論と見なすこともできるが。ウィトゲンシュタインなら偽問題とみなすだろう。ある意味筆者は広松渉的な個か共同かという問題設定を大きく考えすぎているとも見えなくもない。 また、個人主義の背景にキリスト教の教会制度があるのではないかという視点からすれば、また別の論点になる。 近代国家そのものが個人主義の産物で、それに失敗したことがそこに回帰することになるのかどうか。近代国家は統計的人口の管理を主な仕事としているが、それ自体個人主義が前提であり、学校も病院も、医学、教育学、社会学も所詮個人主義の産物ではないか。 また個人主義が経済学そのものに潜在しているという批判はかつてあったが、経済学は経済学として個々の論点に則して是々非々を議論しなければならない。何故このようなことをいうかといえば、「残念ながら安倍政権は、前任者の小泉純一郎氏が推進した新自由主義路線からの訣別が十分にできなかったために、自壊してしまった。」(あとがき)という視点は、要するに高橋洋一氏などの経済論についていっているのだろうが、それを個人主義だという批判では覆せないであろうからだ。 また実証史学的な視点は神話は受け付けないというが、実証史学的方法などというものはなく、つまるところ歴史(学)は文献学と考古学に帰着する。そこにおける未来の発見が事実として神話記述及び解釈と齟齬をきたす場合がありうる。その場合神話の内容に抵触してるからといって事象を切り捨てれば歴史の意味が無くなってしまう。 内容の問題ではなく、勅撰和歌集と同じような感性の伝達の問題であろう。 この書の本義はエリートがどう受け止めるかが問われている本である。だが一般人においては、内容はともかくまた理屈はともかく日本神話に置ける人類に普遍的な音律が聞ければよいのであり、その調べがどこまで響くか感じ取れれば十全であろう。 またこういうことは書きたくないのだが、個人的にはこの書の半ばに書かれているとおり後醍醐天皇陵に参拝しないと本当はわからないのかも知れないと思う。 著者自身のキリスト教の信仰者としての立場と日本神話がどのように整合しているのかという疑問はこの書では解かれることはなかった。恐らく未だ言葉にはなっていないのではないか。
必読の本
昭和12年に文部省が書き下ろし戦後GHQが禁書とした『国体の本義』。注釈が分かりやすくスラスラと読めました。 扱うテーマは天皇、祭司、政治、宗教…とかなり遠大なものなのですが、一人の人間としてもっと身近な、衣食住についてもたくさんの気付きが得られたと思います。 現代を生きる私達が如何に無駄でリスクの高い生活環境に置かれ、リターンの望めない仕事に日々追い立てられているか?そんな現代日本人に共通の『なぜ?』に真っ正面から答えを提示してくれます。 下手なビジネス書や中途半端なノウハウ本を読むよりも、これを気合い入れて読めば必ず得るところがあります。 超オススメ!
Let's 理論武装
突出した軍事力を有する大国は何を目指すか. 覇権だ. 中共しかり,ロシアしかり,アメリカしかり. 中共は考える.東アジアの覇権はどうすれば握れるか. 答えは簡単.日本を押さえることだ. そこで中共が思い描く戦略とは何か. 一つは日米同盟を破棄に追い込み米軍を追い出すこと. 日本の反米感情をくすぐり,基地問題をこじらせるのだ. 一つは日本に軍事力を整備させないこと. 反戦平和主義に凝り固まった政治家,評論家, 己の美学に沿った国のあり方にしか関心のない漫才師を利用するのだ. 一つは日本を分割統治し易いように解体すること. 革命という言葉や権力欲,名誉欲にからきし弱いボンボンの政治家や 弁護士上がりの政治家,マイノリティの選挙権獲得欲を利用するのだ. そんな工作の進む日本をロシアはじっと観察しつつ いざという瞬間のタイミングをうかがっている. アメリカは覇権争いの主導権が握れるならば, 場合によっては中共,ロシアと日本を分割することも視野に入れる. 国を亡くさぬためには,冷静に大国の思惑を読み解き, 現実的な対処法を模索せねばならない. 大多数の日本人はそういう作業が下手だ.それは戦前から変わらない. いわゆる島国根性というやつだ.状況を的確に分析できない人々の考えが 世論の中心となってしまう工作がうまく行って戦争に巻き込まれ,あげくに惨敗. 今回は戦争する必要すらないほどの弱体化が進行中だ. 対策は国防の問題をまじめに考えること. 軍事的な話だけではなく,思想的な対策も大事だ. それには理論武装が必要で,これはそのための本. 学校では教えてくれないことが書いてある. みんなで勉強しましょう. 自らを自らの力で守ることを放棄した国は遠からず滅ぶのが 歴史の教訓なのだから.
超右翼、恐ろしや。
日本国を神格化するような、キチガイの本を再販するなんて、嫌な時代になってきました。 これを信じて、犬死した特攻隊、騙されて戦死し、靖国に祭られた、戦争被害者のことを思うと 断腸の思い。 神学部でこの著者は一体何を勉強していたのだろうか?キリストの愛とは最も遠い、日本国の 暗黒部を、賛美する事は、止めてほしい。
我が国の特質を良く理解できるとともに、日本人として生きる意味を再確認出来る本です。
素晴らしい本です。日本人であれば是非一読すべきです。『国体の本義』は非合理主義な宣伝文書かと思っていましたが、我が国の真の姿を説明する素晴らしい本です。戦前の作者である文部省教学局に敬意を表すると共に、名著を復活させた佐藤優氏に感謝します。 我々戦後日本人は、多かれ少なかれ、欧米流の自由主義、民主主義、合理主義の思想教育だけを受けて育ってきたが、それらの思想の根源は、詰まる所、個々のアトム化された自由平等の個人が社会契約によって国家を形成したという神話であり、イデオロギーである。この神話が歴史的真実から程遠いことは、地球物理学、生物学、人類学、考古学等々の成果から明白である。 他方、我が国には、国生みの神話があり、天孫降臨の建国の神話がある。「皇室を宗家として奉り、天皇を古今に亘る中心と仰ぐ君臣一体の一大家族国家」とする神話がある。この神話は、戦後長らく非科学的として排斥されてきたが、実は、欧米の社会契約説はそれ以上の非科学的言説である。我が国の歴史、或いは国民感情から考え、且つ、人類史の観点からしても、国の神話として掲げるならば、同じ神話でも、実は我が国固有の神話の方が、我々に合致している。その経緯を実に納得できる形で提示してくれています。 処で、細部の誤りを二点指摘しておきたい。  昨年12月は、皇紀2669年12月であって、皇紀2664年ではありません(305頁)  外務省で佐藤優氏はインテリジェンスチームを編成した(2頁)とありますが、真のインテリジェンスには、そのための組織論と方法論とが不可欠であり、その二つを欠くものは、単なる情報収集であり、或いは外交工作であって、インテリジェンスではありません。外務省の、或いは佐藤優氏の外交官としての失敗はまさにそこに起因したのではないでしょうか。


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くちコミ情報
インテリジェントな野蛮人のしたたかなテーブルマナー
面白い! 情報活動におけるデテイルが、読みやすく語られている。 インテリジェント・オフィサーは、小市民的倫理観のやや埒外にあるとともに、それゆえに徹底的に誠実でなければならないという逆説が、実に面白い。国家どうしが壮大な「騙し合い」を行っているからこそ、ミクロの関係においては信義誠実が大事なのだ。情報の世界の暗黙のルール=テーブルマナーはたいへん含蓄に富み、人間性というものについて考察を行うにあたり、多くの示唆を与えてくれる。 本書は2年前に刊行された本の文庫化であるが、今年の政権交代を受けての対談が追加されている。前著をお読みの方も一読の価値があると思われる。


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くちコミ情報
はまります
佐藤優氏のタフな精神力には感服します。国策捜査もこの本の出版によってやりにくくなったことでしょう。ただ、佐藤氏によって操られている。筆者の望む方向にきっちり誘導されている感があり、冷静に自分で情報を解釈しなおす作業も大事だと言うことを教えてくれる本でした。 今、国家の罠、国家論と読んでいます。はまりました。
怪物の学習人生の記録
わたしは著者とは同時期に同じ学校に在籍していた。(神学部ではない)たぶんどこかですれちがっていたことと思う。またわたしも学生時代の一時期、外交官専門職試験を受けようかと考えたことがあった。結局、実行しなかったのだが、著者の本を読むようになってから、わたしにはとても無理だということがよくわかった。わたしには著者のような形而上学を学ぶ資質が欠けている。さらにロシアでの著者のような活躍は、到底逆立ちしてもできっこないからだ。 著者の本を読むようになってから、なぜか学生時代のことを思い出すことが多くなった。わたしと同じゼミの学生がひとり、専門職として外務省に入ったのだ。著者より2年遅れだったと思うが、彼はいったいどうしているのか。彼は学者も選択肢として考えるほどの秀才だったが、著者のような怪物ではないので、おそらく役人人生をまっとうしているのだろう。 わたしは著者の足元にも及ばないが、それでも人生をかける知識人の生き様を教えてもらっている気がして、たびたび著者の本を読み返している。特に本書は、不思議と何度読んでもあきない。本書を読むたびに、学生時代以来なかったことだが、知的に叱咤激励されている気がする。 著者のような人物が野に放たれたことは国家としては損失だが、読書界にとっては慶事だった。思うに、日本の読書人ももう少し、国際政治・外交の泥くさい世界を知りなさいという天の意思なのかもしれない。著者のますますのご活躍をお祈りしたい。
同世代の数少ない「知識人」
これは佐藤優の本では最大のヒットであった。 2002年の時点において、小泉改革の本質を見抜いていた男がここにもいた、と感じた。 それは「冷戦後」というパラダイムシフトを見抜く力の差異である。 いろいろ毀誉褒貶はあるが、佐藤優は間違いなく同世代の数少ない真の意味での「知識人」である。 それはただ単に読書量が多いとかいうだけでなく、「現実」と「教養」が不可分に結びついているという意味において有能な知識人なのだ。ほとんどの人間はこのレベルに達することができずにいる。
成熟のプロセス
政治犯が獄中で思索を深める場合、一般的に転向や宗教への傾倒など何かしら思想基盤の変化が認められるものだが、著者は自ら認めるように独房生活をむしろ読書に好都合な環境として活用した。 その結果、思想的な軸足はブレず、異国での厳しい研修を終えた優秀な会社員のように思想に厚みが増し、益々深いインテリジェンスを発揮している。 日本の監獄が、ドストエフスキーの時代のものと比べれば、実存的な問いを発さずにはおれない過酷な場所ではなくなったのだと思うが、それ以上に著者の精神の強靭さと知的好奇心の旺盛さには驚く。 ハーバーマス、ハイデガーから高橋和巳、蓑田胸喜など縦横無尽に読み、外務省から多摩川のアザラシ問題まで、監獄からも現代社会のアクチュアルな病弊に向かい合っている。 一つの稀有な知性が独房で成熟するプロセスの、貴重な記録といえる。
やはり怪物だ
国家の罠を読んで、情報(インテリジェンス)にかかわる人は、社会常識から外れており、そのような異常な世界でうごめいているのだとの印象を持ちました。一転、この本では収監されながらも神学書、哲学書から辞書まで丹念に読み、それらを佐藤流に血と肉とする姿が実録として描かれています。 小泉政権を親米・競争主義、鈴木宗男を国際協調・平等重視と解析をし、その政治闘争が国策捜査につながるという解析を、極めて冷徹にした上で、闘争方針を立てその合間に物凄い読書と勉強をする精神の強靭さはただただ感嘆するのみです。いすれにしろ、多くの顔を持つ、怪物の一面を見た気がしました。彼の物凄い読書量からすると、まだまだ化けて違った顔を見せるのではないかと、次の出版物が楽しみです。


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くちコミ情報
難しいことは解りませんが
おー!へー!そんなことがあるんだ!と、脳がひらめきすぎて疲れちゃいます。 嬉しい悲鳴です。 脳の体操にぴったりです。 頭が良い人が読んでも面白いんでしょうが、普段テレビばかり見てる私でもとても面白いです。 色んな知らない世界を手軽に教えてくれるので、立花さんの本は大好きなんですが、佐藤さんの本もこれからはチェックしなきゃなと思いました。 知るって楽しいです。
秀逸な読書レビュー
 表題は「鍛え方」であり読書により頭脳を鍛えよという本である。選ばれた本は、(私にとっては)70%くらいが「有名本」(読んでいるというわけではない)であり、残りの30%が参考になった。  本書は思想、特に共産・社会主義関連にウェイトが置かれており、その方面が特に充実している。    # 本筋ではないが、立花氏(佐藤氏だったかな?)が「本の紹介本はロクなものがな      い」と述べている点が、自己矛盾していて面白かった(微苦笑)
本当のことが知りたいだけの人と、真実よりも世の中を動かしていくための知恵の方が欲しい人では、本の読み方が違ってくる
二人ともすごい読書家でお互いに相手の読んでいるかなり専門的な本を読んでいて話が通じてしまう。そのすごさにただ圧倒されてしまうのだが、非常に大きな相違点がこの二人にはある。 立花氏は「理論に普遍性を求めるのは自然科学だけで、文科系の学問にはもともと普遍性など存在せず、みんな自分こそ正しいと思うことを勝手にわめき合っているだけなのだp.313」という。フロイトの精神分析については、「科学としてはエセ科学でも、面白くて楽しめるエセ科学があるものだと思えばいいp.313」という構えで読んでいる。 最先端の科学を追いかけて数多くの著書を出してきた立花氏の推薦する科学の本は、とてもおもしろくて役に立ちそう。科学系のブックガイドは文科系のものに比べてお目にかかりにくいだけに貴重だ。 立花氏は「本当のことが知りたい」ことが第一のジャーナリストなのである。 一方で、佐藤氏は国際的な裏舞台の最先端で働いてきただけあって、明らかにまだまだ自分で世の中を動かしたい、そのための知恵を得るためにいろいろな本を読んできたし、インテリジェンスの舞台からは引っ込んだ今もその姿勢は変わらないのである。 例えば立花氏は「アインシュタイン以後、この宇宙の時間と空間は絶対的な範疇概念から、伸びたり縮んだりする絶対的でないものだという概念に取って代わりました.p.221」ということから、「時間と空間は、人間のアプリオリな判断形式であるp.220」としているカントの「純粋理性批判」を「現代においてはナンセンス」と切り捨ててしまうp.220。 佐藤氏は、「政治的な勢力均衡論も国連のメカニズムも、基本的にはいまだにカント的な世界観の上に立っています。」とカントの重要性を主張するのである。 このように立場が違っている同士でも、哲学の古典は双方とも重視している等のことから、矢張り基本的な古典の教養は必要なのだと納得させられる。古典を読む意味が解かってくるという点でおススメ。
教養とは何かについて考えさせられる本
読了後の感想は、自分って本当に教養がないなあと感じてしまいました。 教養ってなんでしょうか。本書では各氏ともに一応定義していますが、私としては 思考の基礎をなすものでないかと思います。また、教養を得るにはただ単に覚えるだけではなく、 考えて読まないと身に付かないものだと思います。 私は特に実用書をひたすら読んでいるので、教養書というものをなかなか読んでいないことに 気づきました。 また、二人の対話を読んでいるとなんで自分ってこんなに教養がないんだろうってへこんでしまいました。 まあ、今更嘆いても仕方がないので今から少しずつ教養力をみにつけていきたいと思います。 本書を読むだけでも少しは教養力があがったのでないでしょうか。 これを読むだけでも非常にいい教養力アップになるのでおすすめです。
画期的なブックガイド。あとは興味のある本から読み進めるだけ。
 ブックリストだけで十分に価値のある一冊。対談はさらーっと読み流して、そこで触れられている本に魅力を感じたら買ってみる。ブックガイドとしてこれほど素晴らしい企画はないと思う。個人的に立花氏より佐藤氏の推薦・コメントに誠意を感じた。 「教養はやはり本からですね。また情報をインプットするという意味でも、私は紙媒体のほうがいいと思います。・・・私の場合、インターネットだったら紙から吸収する情報量の二十分の一くらいしか入ってきませんね。(佐藤)」 「読書による疑似体験の力はものすごく強い。あの檻の中で耐えられたのはソ連崩壊のときにいろんな人間模様を見た経験と読書による疑似体験、その二つがあったおかげです。(佐藤)」 「トートロジーに対する耐性がヨーロッパやアメリカにはあるから、もし政治家や占い師がトートロジーを唱えると、『ふざけるな、おまえ』という話になります。・・・トートロジーという絶対に勝つ論理を使ってもいいんだという、ほかの世界とは違うゲームのルールが、この国にはあるからなんです。(佐藤)」 「<外国語上達法について> 外国語から自国語へ翻訳する過程で、自分たちの文化になじむように文章を咀嚼するから、思想的な深みが増す。(佐藤)」 「<受験勉強について> 一定の時間、机に座って、記憶したことを一定の時間に紙の上に再現する、記憶と条件反射しか使いません。それを一つの分野でやりすぎると頭が悪くなる。(佐藤)」 「現代は知識がタコツボ化しているから、全体像をつかむことはすごく大事ですね。教養は全体像をつかむための強力は武器です。(佐藤)」


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その環境に馴染み協力してくれる著者のような行動は,尊敬に値する
分厚い。512日間の拘置生活をつづっている。生活の様子がわかる日記の一面があり,著者の考えが分かる手紙の一面がある。 2つの様式で書かれた本書は,ここに書くことのできないその背景にあるものを想像するだけで気が遠くなる膨大な量である。この長い拘置生活を支えたものは,著者の信念と周囲の支援,そして拘置所職員の通常業務であろう。 自分の仕事と絡めて思うのは,信念をしっかり持ちながら,その環境に馴染み協力してくれる著者のような行動は,尊敬に値する。その分,隙を見せることができないこともあり緊張するのだけれど。まぁ,注目されている存在だからこそ,ここまで堂々とふるまうことができ,心を折ることなくできたのだと思う。それがないなら,拘置所という環境に対して反応し,信念を貫くという大目標を忘れて大騒ぎして,現在の生活環境が若干改善されるレベルに(もしくは,より拘禁度が上がるレベルに)落ち着いてしまうのだ。 結局,執行猶予付きの判決で控訴も上告も棄却となって失職してしまったけれど,著者の今後の活動には目が離せない。 強いて言えば枚数が増えてもいいので,拘置生活の部分をより深く掘り下げて欲しかった。
知的〇〇論、〇〇術、〇〇力
独房という特殊な状況のなかにもかかわらず、 取り乱すこともなく、静かすぎるぐらい淡々と思索をつづける日々が 描かれる。 哲学なんて日常に生かせるのだろうかと思っていたが、 佐藤氏にかかると、哲学は現実を把握し、状況を判断するための 実用的な術なのだ。 最近の〇〇論、〇〇術、〇〇力的なビジネス書の内容は この一冊にエッセンス的につまっている。 外交論、国家論、組織論、 交友術、勉強術、読書術、 思考力、交渉力、地頭力。 あー頭がくらくらする。
堀の中の知的な生活
 この本を読む迄の私の佐藤優氏に対する印象は、鈴木宗男氏とともにロシア外交で暗躍した外務省の専門官でラスプーチンと呼ばれた男と胡散臭い感じがし、あまり良いものではなかった。米原万理さんが書評集で本書を絶賛していたことから手にしたが、一気に読んで驚愕・感心し、佐藤氏に対する私の見方は大きく変わった。  何より驚き感服したのは、500日余の拘留中の読書と学習振りである。制約の多い中でヘーゲルやハーバーマスの哲学書、宇野弘蔵や廣松渉の経済学書、宗教書、歴史書等を、ノートを取りながら読み思索する。加えてドイツ語やラテン語等の語学学習の他、辞典・辞書や高校数学の教科書まで読んでいる。巻末に獄中読書リストがあるが、私が読み通すにはどれも難しそうで、目の眩む思いがした。2つ目には著者の精神の強靭さと信念の一貫性である。検察官とのやり取りや弁護士との打ち合わせに知性の働きが良くわかる。更に獄中での鈴木宗男逮捕に対する抗議のハンストや雑誌「世界」への論文寄稿等の行動力を、同時期に同容疑で逮捕された外務省の同僚や商社員の無定見やひ弱さに比べるとき、彼の地頭の良さは一層きわ立っている。3つ目は佐藤氏の人間的魅力である。拘置所の正月の料理メニューについての記述やスポーツ新聞の社会面や広告欄から外界の動向を推測する箇所には、心の余裕とユーモアが溢れている。また外務省の後輩を気遣う手紙類、隣室の確定死刑囚の様子をその母親に手紙で知らせるエピソードに、人間としての暖かさややさしさを感じた。  著者は17年間奉職した外務省に恨みはないが戻ることもないという。著者のこれから人生に注目するとともに応援のエールを送りたい。
塀の中が具体的に伝わりました
佐藤何某の信条とか検察に対する考え方などは他で見ればいいのであって、これは正に拘置所の中の実況中継としてみるといい。「へー」という場面がたくさんあって面白かった。意外と恵まれているなというのが感想です。
私にとっては啓蒙書
鈴木宗男なる人物を私が始めてTVで見た時、彼はすでに“真紀子対宗男”などという完全なヒールとしてお茶の間をにぎわせていました。 その人と連座して逮捕された佐藤さんの本なんてどんなものなんだろうー?という軽い気持ちで読んだのですが、こりゃすごいですね。 この本を読んでフローマトカという、今まで聞いたことのなかった思想家の存在も初めて知りました。 私は今まで哲学って、一体何の役に立つのだろう?と考えることがよくあったのですが、この本を読んで、その答えを教えられたような気がします。 本に書いてあることが真実だとするならば、要するに無罪を主張する佐藤氏を国家が断罪しようとする時、では一体何をもって自分は有罪となるのかを徹底的に議論したいと佐藤氏は言っています。 罪とは何か? 誰がそれを決めるのか? 個人に対する罪と国家に対する罪は違うのか? 考えてみればこのような問いに対する答えというのは宗教国家でもない限り存在しないわけで、それは哲学の議論になり、そのためには先人哲学者たちの啓いたテクストに沿わなくては議論すらできません。 こういう究極の立場に置かれたとき、哲学の素養があるかないかで人間は大きな違いが出てくるのではないでしょうか。 現に一緒に逮捕されたほかの外交官達は日に日にやせ細っていくーと、佐藤さんが心配しています。 佐藤氏は主にヨーロッパの思想家について大変な博覧強記ぶりを発揮していますが、文化も歴史も違う日本において、新しい哲学・思想を将来生み落としてくれるのでしょうか。 楽しみです。


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なかなかこんな本には出会えないはず。読まなきゃもったいない。是非どうぞ
ソ連崩壊に巻き込まれた自身の体験を,交流した人物を通して描いた本。著者がひょんなことから(死語w)外交官になり,モスクワ大学で出会った「サーシャ」から拡がった人脈,そしてその人脈は1991年8月のクーデター首謀者とされるヤナーエフ副大統領にまで繋がっていく。 在モスクワの日本大使館三等事務官(後に二等書記官)というノンキャリアが,専門職だからこそできた言葉では言い表せないぐらいの大活躍(ほとんどスパイ)。 営業さん必携の書と言えるのでは?語学習得を志そうという人や,スパイになりたい人にもおすすめ。 論理的だなんだというより,まず文章が面白い。おそらくこの人は,まったく興味のない分野に対しても楽しく読ませる力があるはず。あの,ゴルバチョフ失脚なんて,そろそろ忘れ去ろうとされているこの頃だけど,「あ,そうだったんだ!」と勉強できます。 文庫版あとがきが70ページ。 ロシア正教について学べる。 最近の南オセチア問題にまで言及。 なかなかこんな本には出会えないはず。読まなきゃもったいない。是非どうぞ。
ソ連崩壊への歴史を生肌で感じる
 元外交官・佐藤優がソ連での勤務において、様々な人物と知己を得て 精力的に活動し、ソ連崩壊までを実際に体験した、その軌跡を描く。  日記をつけていた・脚色しているといった可能性は十分あるが、それ であってもすさまじい記憶力による執筆である。そして、切れ味のある 文章でサクサクと読み進めさせられる。  ソ連事情や宗教に関する学術的知識に欠ける私には、やや難解な点も あったが、それでも勢いで読み進められた。前提知識が必要だと感じた ところは、ウィキペディア等を利用して調べながら読了した。
情報戦、諜報戦は組織の蜘蛛の糸。
佐藤氏の視点がどこで築かれ、磨かれてきたのかがわかる。情報戦の実戦があればこそ、現代の著作集が光をはなつ。外務政策がどのように作られ、実行されるのか、されないのかを知るには最適な文献。味のある情報の料理の仕方を知るには、佐藤氏の手引きは有力。 なんといっても面白い。
肥えた思想
軽い作家が多い中、いつもながら思考が練られた筆者だ。文章を読むうちに様々な人間の分析方法まで学べる。ただ読者としては、冷静に読む必要がある。筆者はピュアすぎて(それが美点でもあるのだが)、学生闘争に酔いしれかけているかつての学生が大人になっただけのような読後感も否めない。そして、切々とロシアを語る裏側でかなりの国税がロシアに浪費されながら、日本はロシアから得るものは何も無かったし、この先も無いと確信するだけに感慨は留めた方がいいだろう。
二重の帝国
 ソ連崩壊を目の当たりにした日本人は少ない。その中で一定の洞察力と他者に語る筆を持った人間がいたことを感謝せざるを得ない。それほど、著者の洞察と幅広い知識、筆力は図抜けている。  思い返せばソ連崩壊とは単なる体制の転換ではなく、価値観の大転換だった。白が黒になる過渡期。消えたはずの民族問題や反ユダヤ主義がぶくぶくと湧き出し、共産党同士で対立が起こる。チンピラが成り上がる一方で、エリートが転落する。まさにリアル大河ドラマ!20年近く経った今読み返しても、興味は付きいない。


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佐藤 優  
¥ 1,680(税込)
在庫あり。
ジャンル内ランキング:26592位  
カスタマーレビュー数:12

くちコミ情報
神が人間に何を呼びかけているかを知る技法
表題は佐藤氏の本書説明。「真実の友情・幸福・愛・信頼・希望は目に見えないが、おぼろげな形でもそれに近づけるのが書籍であり、真実を知る人の方が人生の選択が豊かになると考える功利主義者の発想の下、面白くかつ役に立つ読書法を提示するよう努めた」と述べておられますが、読書家にとっても人生に相当役立つ優れた読書法だと敬服しました。 後書はイエスの言葉「あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネによる福音書第8章32節)で総括されていますが、漫画(うずまき)・小説(カラマーゾフの兄弟、ロング・グッドバイ)・ノンフィクション(ソビエト帝国の最期)・自伝(ふぞろいな秘密)・思想書(資本論)・宗教書(共同幻想論)と幅広く選ばれた約30の書籍が 「資本主義の本質とは何か」「人間の本性を見抜くテクニック」「日本の閉塞状況を打破するための視点」等の10カテゴリー毎に秀逸に読み解かれ、叡智が抽出されており、読書好きでない方にもお薦めいたします。
公開情報の料理の法、量は質に転化する。
資本論からよみとるエッセンスも、漫画から読み取る寓意も一緒、ということもある。深読みしすぎ、ともとれなくもない。ただ有効な理論や意見、技法が抽出できれば良し。 自分の頭で考えたことか、読んだ本の筆者の考えか?主観と客観の間でゆれる。 他ではおそらく見かけることのない読書術。 さすがの元情報分析官の読書のすすめ、である。
体験が 色濃く出てる ブックレビュー
1.内容 著者の佐藤優さんが、「「役に立つ」」(p2)という観点から選んだ本を評価したもの。なお、「功利主義」には、「自らの救済の材料を見出す」(p321)という意味もあるようだ。 2.評価 著者は、(1)母親が久米島の出身で、(2)同志社大学大学院で神学を学び、(3)その後外務省に奉職して主にロシア関係の仕事をし、(4)いわゆる鈴木宗男事件で逮捕・起訴された人である。本書はこのような著者の体験が存分に出ているブックレビューである。すなわち、(1)から沖縄問題についての本の紹介があり、(2)から『新約聖書』の紹介があり、(3)からロシア関係の本が多かったり、(4)から拘置所の経験がふんだんに出ている内容になっている。また、雑誌に掲載された当時、いわゆる市場原理主義に対する議論が多く、現実でも問題になったので、経済に関する本の紹介も多い(経済学、というより、小説なども経済と絡めて評している)。以上のような背景があるので、読み応えのある本の選択、ならびに内容になっている。ゆえに星5つ。
本から学べるかは、自分次第
佐藤氏の本に対する解釈を読むと、行間から察して想像を膨らませたり、過去の経験を駆使することで、あらゆる本からどんな意義をも見いだす事ができる。 読んだ本がつまらなかった、駄作だった、というのは簡単だが、そう決めるのは自分次第だ。 それでもなお、良書に出会うのは難しいと佐藤氏が語っている事に好感を持つ。 マニュアル本ではないものの、知識を得るのに役に立つ書籍の紹介が、テーマごとにされている。 かなり突っ込んだ内容の書評なので、ともすると、その本を読んで本質を理解してしまったような幻想を抱かせる。 なので、ぜひ一冊でも紹介された本を読んでみたい。 その上でもう一度「功利主義者の読書術」を読めば、佐藤氏が言わんとしている事が、もっと心に迫って理解できるだろうと思った。 ☆が4つになるのか5つになるのかは、その後なのである。
佐藤優ならではのひと味違うブックガイド
佐藤優のひと味違う異色のブック・ガイド。「獄中記」や「国家と神とマルクス」等で解析されていた学術書や哲学書ばかりではなく、純文学からハードボイルド、エンタメ小説からゴシップ本までを俎上に挙げ、交渉術、論戦術、洞察力から実践的恋愛指南までテーマを決めて、佐藤流に解き明かす。 冒頭で、本のタイトル名に触れ、本書はビジネスマンや学生の役に立つ事を第一義に考えたと言うが、実に多彩なセレクト。日頃エンタメ的な読書を主軸に置く者からしても、チャンドラーや高橋和巳、石原真理子らがどう論じられているのか、やはり好奇心が湧く。数ページのまえがきからして、本に向き合う知的思索の閃きを感じさせるが、内容は、決して難解な物言いではなく、むしろ平易で読み易い。佐藤優の人と思想を知る入門書としても適しているんじゃないか。 各書共、その内容を紹介しながら、それぞれのテーマに従って、時に文中の一節、ある件をそっくり引用しながら、その世界観、思想を考察する。出自、青春期、外交官時代、そして独房での獄中期まで、自らの生きてきた知的営為の軌跡を絡ませながらのその語り口は、いつもながらの思惟に富んでいるし、挙げられた書籍や著者に対しての、リスペクトや礼節を重んじる謙虚な態度に好感を持てる。 数えてみた。この中で私が読んでいたものは12冊。意外に多いなと改めてラインナップを眺めてみると、取り上げられていた書籍たちはそのジャンルでの古典、名著が多かった事に気づく。佐藤優に関心を持つ読者なら読んでいてもおかしくない本も多い。佐藤独自の解析を楽しむのもよし、改めて、その本たちと新たな観点で出逢うのも良し。21世紀の預言の書と位置付けられた「邪宗門」など、是非再読したいし、例外に洩れず、もう何十年も書斎に眠ったままの(笑)「資本論」にもまたチャレンジしてみたくなる衝動に駆られる1冊でもある。


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くちコミ情報
しかし、本書は一体誰を読者として想定しているのだろう。
 本書は、多くの日本人が不案内なキリスト教の神学的議論の若干立ち入った紹介を行うという体裁をとる。多少ものを知った読書人ならば、トレルチやバルトなら名前くらい聞いたことがあるだろうが、ゼーベルクやニーバーやゴーガルテンやユンゲルなんて教義学者や神学者を知る機会などないだろうから、こういう人達の議論を一般の読書界に紹介すると言う点では、本書は大変目新しい。  一般の読者にとっての本書の価値はその細部にあるだろう。チュチェ思想とキリスト教の教義との関係の深さ、キリスト教の諸集団ごとの言葉遣いの違い(例えば「三位一体論」と「三一論」)、聖書の翻訳をめぐるあれこれ(「共同訳」「新共同訳」「新改訳」それぞれの成立事情と特徴)、かつての東ドイツの教会の状態などは、読んでいて啓発されたり、事実の確認ができたりして役に立つところが多い。  又、本書に散見されるたとえ話の中で、著者は「新左翼の革マル派と中核派の関係」をもとにしてキリスト教とユダヤ教の断絶を論じてみたり、「関係の類比」と部落解放の神学を論じてみたりと、ある特定の世代にとっては大変わかり易い叙述を心がけているようだ(これ自体が類比的思考の良い例になるだろう)。しかし、その反面、若い世代にはかえってこういうところがピンと来ないのではないだろうか(しかし、つくづくこの人――或いは、この本の編集者――は、オヤジ殺しだなあと思う)。  だが、彼らの神学的議論をキリスト者でもない我々がフォローする必要は一体どこにあるのだろうか。「コルプス・クリスチアヌム」とか「ポスト・コンスタンティヌス体制」とか、正直実感が湧かないと思う。多くの日本人にとってはどうでも良い議論なのではなかろうか。しかし、このようなキリスト教の教義を前提として欧米では政治論や歴史論が展開されてきたということの事実に我々があまりに無知であったことを考えれば、本書の啓蒙的なメリットは大きい(キリスト教の教義が西洋世界の思考枠を大きく規定してきたことについてその歴史的な経緯を知りたければ、ハロルド・バーマンやピエール・ルジャンドルの仕事を参照されたい)。  プロテスタントの立場から見た神学の啓蒙書として、コンパクトではあるし、大変叙述が解りやすい。ただし、これで網羅的にキリスト教のことが判るなどと思われては困る。神学への取っかかりとしては良いかも知れないが、本格的に学びたければ――トマスやバルトを読めとは言わないが――J.ペリカンや著者も勧めるA.マクグラスの本を読んだ方がよほど勉強になる。著者本人が「実用書」と言っているのは、要するに一つのブックガイドとして有用だという訳である(こういう事を言うのは野暮か)。  という訳で、星三つ。
優れた論考だが、立ち位置が多少気になる
政治も宗教も高度かつユニークに語り、雑学も神学論も同じテーブルで広げられるまさに希有な著述家・佐藤優氏が、自身の思想の本丸である神学について講じる。ですます体で語りかけるような文体なので、読みやすく感じるが、原罪や受肉などが解説された後半は結構難しい。著者の解釈がどれほど正統なものであるかはわからないが、パウロが国家への従属を認め、黙示録が国家への抵抗を記す矛盾めいた内容について、キリスト教にとって国家は本質的なものではなく、個々人の啓示が重要なのだ、という解説はなるほどと思う。また、人間に絶対的な真理などなく(それは神が決める)、制約があるということ、キリスト教は個人重視の宗教なのかな、という感じがする。 難解な文章の中、いつものうんちくもたまに顔を出す。キリスト教の世界教会協議会の会合があったとき、福音書を読みましょうと言ったら、北朝鮮のメンバーが旧約をめくっていたという話など、2章の聖書の読み方を巡る話は面白い。聖書は神の言葉だが、記したのは人間であり、人間に起因する間違いはあるのだ、だから聖書に疑いを持ってはならないという考えは間違っている、という神学徒らしい論考もうなずける。 p58で、「普天間移転再検討について、アメリカも受け入れようとしている」という記述があるが、これはどうだろうか。日米の主要メディアを見る限りはそんな感じはしないが。政権との距離が近くなった著者の立ち位置かな、と下衆な勘ぐりをしてしまったが、どうだろう……
実用としての宗教の提案ということ。
 帯書きに「神学は役に立つ」と大書している。また あとがきの冒頭の一文は「本書は実用書である」である。この佐藤の主張を どう理解するかが 読者側の挑戦となる。  現代の日本人にとって神学は非常に遠い学問だ。日本人のかなりが自分で自分を無宗教だと判断しているはずだ。婚礼葬儀以外に宗教が語られることも少ない。であるがゆえに 僕らにとって宗教を学ぶことには大きな意義と可能性がある。下手に色がついていないがゆえに 宗教を学ぶことが出来る地合があるはずだ。  佐藤の本書における最終的な主張は246頁での段落にあると判断した。  「つまり われわれは制約されている存在だということです。人間は自らの限界をきちんと認識しなければなりません。神なき世俗化の時代、ヒューマニズムの時代において、人間の合理性のみが突出し、自分たちが思う形で世の中を設計できると思ってしまう。それによって神の座に自分を置いてしまう。そのためにいろいろなトラブルが起きています」  上記のような 人間の「相対化」において 歴史上もっとも力があったのは宗教であったはずである。宗教は そもそも人知を超えたものが存在し、それに人間がどう取り組むかを考えるということであるとするなら その前提である「人知を超えたもの」の存在を認めているからだ。  僕らは「人知を超えたもの」は 人知の進歩によって 克服出来るものだと考えがちである。それが科学の進歩を齎したことは間違いないが それの度合いが過ぎると 自らを神としてしまう。それを防ぐ為に 佐藤は 再度 宗教を学ぶことで 自己を絶対化せず 相対化できるはずだという 実用性を主張している。自己の絶対化が起こした悲喜劇は歴史には枚挙がない。それを防ぐことが出来るのではないか?本書での佐藤の主張に関しては 僕は そう読んだところである。  現代の日本に宗教を提起した本書は大変魅力的である。左巻も楽しみにしたい。
炯眼
この本は、ヨーロッパ的思考(ユダヤ・キリスト教の一神教の伝統、ギリシャ古典哲学、ローマ法という三つの要素から構成される)で展開されている。 (欧米人はこれのみが人間文明と思っているのであろう) 思考には、西洋的二分法思考と東洋的主客未分思考がある。ただ、世の中というのはいずれにせよ、二項対立状態を作らなければ理解できない。 そして、重要なことは意識されずに行われる(実体が前景となり排除された要素は無意識として隠れ、動かす)そして、その事は事後に分ってくる。 宗教について考えることで、この「見えない世界」に対する感覚を研ぎ澄ますことが重要であるというスタンスである。 キリスト教における啓示、原罪、受肉、プネウマ等が取り上げられているが、東洋的思考に馴染んだ者にとっては、二分法的思考の結果を無理に飲み込んでもゲップが出そうである。(二分法的思考の行き着く先は「信ずる」しかないというのはよく分った) 最後に、宗教というのは文化の一形態で、純粋な何々教というのはあり得ない。文化の数だけある。同様に、人類全体にとっての世界史もない。それぞれの文化圏から見た世界史しかあり得ない。(一部にある東アジアにおける共通の歴史を作ろうとする動きは無益な努力か演技である。捕鯨の問題についても同様であろう)というのは腑に落ちた。どこかで折り合うしかないのだろう。
実用としての神学
 「哲学は神学の婢」や「暗黒の中世」という世界史のキャッチフレーズの印象が強くて、神学にはプラスのイメージを持っていませんでした。近世哲学によって乗り越えられるという役割のもので、神学って何となくカビが生えてそう、と思い込んでいました。なので、この本はまさに「目からウロコ」(この語源も本書で説明されています)でした。  神学は、「見えない世界」という、“あの世”のような知りえない世界と「見える世界」をつなぐ回路の“捉え方”や“回答”の集積だったのです。この本を読めば、自分がなんとなく思い込んでいたことが、どんな文脈に沿ったものだったのかを考えさせられます。そして、他の人の考えや占いや宗教などが、どんな文脈に沿ったものであるのかも、冷静に考えてみようという気になります。二千年の歴史を持つキリスト教とその神学体系を叩き台にして、抽象的な概念を素朴な実感に引き寄せる「受肉」といったテクニックや「類比」などのキーワードを駆使して説明される事柄は、奥が深いです。  「キリスト教とかマルクス主義などというものは存在しない、雑多な概念をキリスト教なりマルクス主義なりという傘の中に押し込んでいるだけ」という指摘には、考えさせられました。各人の多数の個別も、ひとつの“物語”をしたてられることによって、一つのものに取り込まれてしまうのではないか、などと考えさせられてしまったのですが、こういうかなりショックなことが、サラッと(しかも、大量に)書いてある凄い本でした。        


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くちコミ情報
佐藤先生好きですけど
そろそろネタ切れですかね? タイトルはあまり関係なく、 いわば佐藤先生のエッセイです。 しかし、ここまで世間的評価の違う政治家を執拗に持ち上げますが、 これもインテリジェンスなのでしょうか? 次第に、先生自体がまゆつばモノに見えてきました。。
交渉術ではなく、回想録
元外交官である著者自身がアカデミック志向なため、官僚・外交の嫌らしさと、神学に基づいた信念との対比が不思議で興味深い展開を見せ、ぐいぐい読み進められる。 タイトルで「交渉術」とされているものの、一般的な状況で使えるテクニックではないため、どちらかというと「回想録」として読んだ方が面白いだろう。 そういう意味では、歴代総理やロシア大統領を間近で感じた、マスメディアでは伝えられないリアルさを、本を通じて知る事ができるのが大変興味深い。 佐藤氏自身は後進の指導やノンフィクションの普及、神学や政治に関する勉強会など、著作活動だけでなく多岐にわたり活躍している。 実際に参加した勉強会や講演会では、権威に逆らうかのようなトレーナー姿で登場し、会場が一瞬引く雰囲気になる。 しかし、講演する内容と講演する姿のギャップが親密感を与え、ぐいぐい惹き込まれる。 たとえこれが計算された事だと知っていても、あえて引っかかってもいいと思ってしまう愛嬌のある作家だと、私は思う。
タイトルのイメージと内容は違うが大変面白い!
タイトルは「交渉術」だが、いわゆる交渉のノウハウ本ではなく、少し暴露も入った元外務官僚の北方領土返還工作に関わる体験・経験記」・・という内容。 この手の本は結局内容が事実なのか作り話なのか思い込みなのか真実はわからない。 ただこの本は書かれている内容が真実(少なくとも著者にとっては)と信じて読むと非常に面白い。文章も読みやすく解りやすい。 ちまたのテレビや雑誌で解説者や知識人から「日本は外交戦略がなく交渉も下手、情報収集は行わず分析もしない。外国を見習え!」的な発言をよく聞かされ、「そういうもんかぁ」と私も半ば洗脳されているが、この本を読むと「いやいや意外に日本の政治家や官僚も将来を見据え戦略的に考えて行動している、捨てたもんじゃない!」と考えが変わってくる(まぁ、まがりなりにも一時期は経済大国として世界を席巻した国の舵取りを行っていたわけで当たり前と言えば当たり前だが・・・)。 本書では日本側の登場人物は鈴木宗男や橋本・森・小渕首相と外務官僚が中心となっている。 鈴木宗男はテレビ報道の印象でどことなく胡散臭いイメージがついていて、他首相達も決して政治家として印象が良いわけではなく、また「官僚」は現在の脱官僚の風潮から影響を排除すべきものとの感覚がついていたが、この本を読むと、鈴木氏も他首相も外務省も皆一生懸命にそれぞれの考える国益のため真面目にがんばっていたのだなと感動すらおぼえる。 最初に書いたように、この手の本は内容が真実なのか、作り話なのかは永遠に解らない。 ただ読み進むに従って真実であって欲しい、せめて著者の視線からは真実が書かれていて欲しいという願いが高まってくる。 タイトルが交渉術と言うぐらいなので本書の中で交渉シーンはいくつかあるが、読者が実生活の中でその内容が活かせるか?というと難しいと思う。ただ現在交渉で悩んでいる人に「もう少しがんばってみるかぁ」とやる気を起させるには役に立つ。
北方領土返還についての対ロ交渉をケーススタディとした交渉術
たしかに、この本はタイトルで「交渉術」とありますが、ノウハウ集でも、教科書でもありません。しかし、橋本・森・小渕という3人の総理に鈴木宗男氏を介して仕え、「北方領土問題」解決に向けての対ロシア外交に直接携わった人物だからこそ言える、様々なケーススタディが盛り込まれており、組織を代表して交渉にあたるような立場の方には大いに参考になるヒントが多々記載されています。鈴木代議士の前で嘘が露呈した際、恥を捨ててアルマジロのように床にちじこまり難を逃れた局長、かれらが弱者という立場を確保してからのタカリの実態など、違った視点からの解釈で非常に興味深く読みました。しかし、神学部卒の著者の真骨頂が現れるのは第一章の「神をも論破する説得の技法」と最終章の「交渉の失敗から学ぶには」で自分自身と鈴木代議士の失敗を冷徹に分析している箇所です。興味深い、あるいは、具体の外交交渉の裏側を垣間見たいという好奇心を満たして余りある本でした
タイトルは。。
確かにタイトルの「交渉術」とは少し違うような気もしますが、生々しい交渉の場面が書かれているので全くの羊頭狗肉でもないとは思います。 通訳・翻訳家の米原真理氏が本書終わり付近に登場しますが、ロシア外交における彼女の果たした役割が垣間見えて非常に興味深い。
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