【くちコミ情報】 買いです。
帯のリード文にある「ベスト・オブ・カポーティ」が本書をうまく言い表しているように思います。原文を読まない自分にとって誤訳の問題は無きに等しいので、ここに収録されている短編はカポーティという一人の作家の持ち味をこちらに雄弁に語りかけ、また逆に、だからこそ「冷血」という作品を作り上げる過程でいかにカポーティが疲弊し、取り返しがつかないくらい磨り減ってしまったのかを推し量らせられます。文庫の気安さもあり、村上春樹訳の「誕生日のこどもたち」が文庫化されるまで、本書が最良の入門書になるのではないでしょうか。 カポーティの入門には最適かも
カポーティのいままでの著作から、すこしづつ短編を選び出して再編集した文庫オリジナルの短編集。 p 村上春樹訳の「誕生日のこどもたち」に多く収録された南部の子供時代の伝記的な小説から、イタリアやスペインの紀行文、そして「ミリアム」や「冷血」に近いような、冷たい都会の闇を覗き込むようなものまで、この一冊でいろんなカポーティの横顔を垣間見れるような編集がなされています。 p つねに悲哀を含んだ特有のユーモアと、純粋さと、それがゆえの残酷さ。全編に漂う浮遊感、手のひらに感じるかのようなひやりとした触感。 カポーティの作品は、小説というよりは一遍の詩、むしろ1枚の絵のようでもあり、怖くなるほどの美しさ、みたいなものをたたえていて・・・。 p 知人の結婚式の帰りに見知らぬ老婆の家で一晩の宿を借りる「窓辺の灯」、南部の小さな町で貧乏な少年が瓶の中の小銭の金額を当てる賭けに参加する「銀の酒瓶」、画廊を営む主人公が、奇妙な絵を売りに来た不思議な若い女と出会ったことから始まる悪い夢のような「無頭の鷹」など、必読です。