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2009年01月07日(水) 著者別の第1位は 『バガボンド 29 (29) (モーニングKC)』!
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バガボンド 29 (29) (モーニングKC)
井上 雄彦 吉川 英治  
¥ 560(税込)
通常24時間以内に発送
カスタマーレビュー数:14

くちコミ情報
殺し合いの螺旋から逃れられるのか
七十人斬りを理由に京都所司代に捕まった武蔵。 武蔵の右足の傷は深く、修羅の剣の道を捨てる選択を迫られる。 沢庵和尚の禅問答のような問いかけの中で、武蔵は答えを見つけられるのか。   沢庵自身が、仏の道を生き漂白していく中で、悩み傷つきながら、「苦しみ、のたうち、間違いを犯し」と告白するシーンが印象的だった。 武蔵も、沢庵和尚も、人間みんな、同じだということ。 その中で一番「生な」荒々しい感情を持っている武蔵だということ。 武蔵の中に自分自身を含む人というものの答えを探しているのかも知れない。 ここに、武蔵を追い、気にかけ続ける沢庵和尚の気持の原動力がある気がした。 すべてをあるがままに受け入れる境地に至ったとき、天とのつながりを悟る光のシーンも印象的だった。
深い
「静」がこれほど壮大で これほど説得力のあるものだということをこの巻は立証した 武蔵と沢庵の掛け合いは本当に深い 剣と人は似ているのかもしれない 自由で無限 これから「帰る」ところを作ったら どうやって「帰る」ことができる? というところとか 実に武蔵・・・いや バガボンドらしい 最後の作者のあとがきも根底を突いていて実に深い
内面を描くということ
なんかの特集で読んだ 井上武彦はバガボンドを通じて言葉に表せないことを伝えようとしていると、。 情報化社会を騒がれるようになって幾月か過ぎましたがそんな時代だからこそ言葉にできない・記号化できない世界を描いているバガボンドという作品はやはりたんなるいちマンガを超えた影響力があるように感じます。 東洋はもとより日本はそういう祈りとか信仰心とか目に見えない世界を重んじる、そういう文化的な背景が歴史を追ってあり、そういう根本的なルーツと申しますか、戦後欧米を真似して経済的な合理主義というか をですね追いかけてきていまそういう状況に終止符を打ちこれから原点に回帰してしていこう・日本独自の次の成長曲線を描いてこうという大きな流れの中でみてみるとなかなか作者の洞察力とかも含めて説得力のあるシリーズになっているような気がいたします。 なんだかむずかしく言ってしまいましたが単純に武蔵と小次郎が好きなのでレビューを書いてるわけなのですが(笑)。 これからどういう展開をしていくか どう終盤につなげていくか 非常に楽しみです。
別の道。
それは、武蔵にとって命を、生きがいを捨てるということ。 他に選択肢がなくとも簡単には受け入れられない。 とりあえず、今歩いてきた道を見失わないよう、備える。 やはり、武蔵は剣を捨てる捨てないを悩んでいるようですが、 沢庵坊としては、命のやり取りを続けるやり方に疑問を投げています。 そこにズレが・・・ しかし、異なる道を進むもの2人。得たものの表現は異なるが 本質的には同じものだった!「天」 果たしてこの戦いで、武蔵は何を得たのか?苦しみと名声だけ? 得たものがわかったとき、どこに進むべきか見えるハズ。 わたしも武蔵の進む道の果ては地獄ではないと信じます!!
微妙
個人的な意見になるかもしれませんが、最近28巻あたりから絵が少し変わったような 雑気味に感じるのですが・・・。もちろん基本的な丁寧さは変わらないのですが。 1巻や当初の頃と比べると、そういう絵の勢いは少し落ちたかなって気がします。それは47人も殺した主人公の意志のために、作者が意図的にそうしてるのかもしれませんが・・・。 あとストーリーですがややテンポ遅気味に感じます・・・。編集側やいろんな都合も あるかもしれませんが・・・。今回の天と繋がっているという示しは個人的には 他のある本で知ったような事だったので特別感慨もなかったです・・・。 小次郎も男だからといって下手にHシーンはいらないような気もします。あまり好感 持てなくなりますから。


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ローマ亡き後の地中海世界(上)
塩野七生  
¥ 3,150(税込)
通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:80位  
カスタマーレビュー数:4

くちコミ情報
『ローマ人の物語』と『海の都の物語』の空白期間を埋める作品
 聖戦に名を借りたイスラム教徒による海賊行為に苦しめられたローマ亡き後の地中海世界で、イタリアの海洋国家都市が力をつけて、サラセンの海賊を駆逐し始めるまでを描いている。やや、テロとの戦いや拉致問題などの話に引っ張られるているのかな…と思ってしまうような記述もありますが、異教徒を、まあ殺してしまえ、という『コーラン』の内容もあるから仕方ないかな、とも感じます。  下巻の目次も発表されていまして、それをみると、西欧が徐々に地中海世界を取り戻し、「レパントの海戦」でトルコに勝利し、やがて大西洋に出て行くというところで終わるのかな、という感じです。  塩野さんの作品ではローマを除けば最高傑作だと思うヴェネチア共和国を描いた『海の都の物語』にもチラッと海賊の話と対トルコ戦争は出てきますが、ヴェネチアが相手にした海賊はスラブ民族ですし、雌雄を決したのも"原アラブ"ではないトルコです。ですから『ローマ亡き後の地中海世界』は『ローマ人の物語』と『海の都の物語』の空白期間を埋める作品とも言えるかもしれません。それにしても、その空白期間というのが、これほどイスラムによる海賊行為に彩られていたとは、ちょっと驚きです。
西地中海の海賊の横行を視座に据えた新鮮な中世史
海を巡る歴史に造詣が深い著者ならではの、新鮮な中世史の読み解き方が提示される好著だ。扱う時代はイスラムの台頭から始まるが、ある1つの国・王朝の興亡をじっくり説く本ではない。8〜15世紀を中心に、イスラム化された北アフリカから出撃する海賊がヨーロッパの西地中海沿岸、特にイタリア半島の南部及びティレニア海沿岸、シチリアにどれだけ甚大な損害を及ぼしたか、それに対してキリスト教国はどのように防衛・反撃したかという大きな歴史の流れが叙述される。十字軍やノルマンの地中海進出にも触れているが、それよりも名もなき貧しい人々がどれほど苦しめられ、北アフリカに拉致された人々はいかに悲惨な目にあったか、最初は組織的な反撃ができなかったキリスト教国がやがてイタリア海洋都市国家の勃興とともにどのように反撃、あるいは拉致被害者を救出するようになったか、そして拉致被害者の救出のために献身的かつ非暴力の活動を継続した「二つの、国境なき団体」の歴史に重点が置かれている。ヨーロッパ中世史に関しては英・独・仏に目がむきがちだが、海賊の脅威が西地中海沿岸諸国にこれほど大きな影響を与えた(例えば産業・交易の衰退という中世の特徴を形成する一因となった)ことを本書は教えてくれる。結局はキリスト教対イスラム教という一神教同士の対立に帰着するのだろうが、ある時期シチリアで2つの宗教が共生できた歴史的事実は重要。著者は現代も愚行を繰り返す人類の将来に全く希望を持っていないとは言えないだろう。シチリアに比較的多くの頁を割いてその歴史を熱く語る著者の姿勢からそう思う。最後に、本書は本文303頁、イタリア沿岸の海賊監視塔であった「サラセンの塔」の詳細な分布地図と代表的な塔の風景写真がカラー刷りで32頁、そして年表付き。紺碧の海の美しさと廃墟となった塔の対比に諸行無常を感じる。
塩野氏は問う。人類は進歩したのかと
「ローマ人の物語」15年間を通して塩野氏は、常に疑問を呈していた。「人類の進歩」なるものについて。  だから、ローマ人の帝国があれほど大をなし、かつ人類に多くの偉大な教訓を残した最大の理由を塩野氏は端的にこう表現した。 「人間という生き物の本質に、全く幻想を抱かなかったからだ」と。  だから、  全盛期の民主制アテネを見ても、民主主義の華やかさに惹かれることもなかった。  民衆に現実以上の認識能力を要求することが前提の民主制の欠陥に、無意識にしろローマ人は気づいていた。    ローマ人は、統治能力を問題にしても、統治理念には拘泥しなかった。  また唯一絶対の正義や神意、真理の追求などという不毛な思索には、全く興味がなく、  だから、  異なる宗教や文化を根絶する発想など、どこを押しても出てこなかった。  しかし、ただの一行で書けるこのことを、その後の人類は全く理解出来ないまま、二千年が過ぎてしまったのではなかったか。  現代の我々とて、同じだ。  異なる一神教同士というどちらかが消滅しない限り本質的に解決がありえない争いは、現在に至るも出口すら見えない。  宗教の狂信には一見無縁の我々日本人も、政治においては結果よりプロセスに拘り、統治能力よりも空虚な統治理念に拘泥する愚から逃れられていない。特に安全保障については、もはやほとんど宗教的な反応しか出来ず、現実を思考する能力すら喪失してしまった。(元々、民族性として不得手ではあったが)  塩野氏は、冷徹に、辛辣に書く。「平和は余りにも重要で、だからこそ平和主義者には任せてはおけない」と。 「ローマ亡き後の地中海世界」は、現実的なローマ人亡き後の、異なる二つの文明の不毛な争いの物語である。  そこに、ローマ人の物語の10巻までにあった高揚感や充実感はない。人間の救い難い狂信、妄信、無邪気な無知と偏狭な善意が招く、無常観が漂う暗黒の中世史である。ゲルマン民族の侵略を「民族の大移動」等と偽善的な表現をせず、「蛮族の侵入」とはっきり書いた塩野氏である。今回も、その冷徹な視点は健在で、はっきりと「暗黒の中世」と言い切っている。  しかし、ローマ帝国史の高揚感、充実感がなくても、別な意味の歴史の面白さ、というか大切さが本書にはある。  これもまた人間の所業なのだ。こういう人間と歴史の現実を直視することこそ、大切だと思うからだ。  特に我々日本人ほど、過去の歴史を冷徹に直視することが下手な民族も少ないと思えば、尚更本書のメッセージの重要性も増すというものである。
塩野七生の光と影
ローマ人と過ごした至福の15年も終焉し、 心に穴が開いてしまったようだった。 そこへ来てローマ亡き後の地中海世界・上下巻の刊行は 小躍りしたくなるような慶事だった。 発売の初日に喜び勇んで都心の書店に駆けつけた。 終わってしまった筈のこの恒例行事をもう一度することができた。 なんという贅沢。塩野先生、最高だ。 刊行の記者会見によると、 「守らなければならない法も、そして倫理もなくなったのが 中世という時代。そういう時代には何が起こるのか?」 というテーマを上・下巻に分け、切り口を変えて扱うという。 本書は、ローマ世界の終焉、特にスティリコの死以後と同じく、 ある程度覚悟を決めて、腹を据えて読み込むべきだと思う。 振り返れば、第15巻・ローマ世界の終焉は 虐殺・略奪・暴行・劫掠・都市抹殺・民族浄化と、 人間の所業に絶望するような記述が、これでもか、これでもかと続いた。 ページを捲る度に何千、何万人と罪無き庶民が殺され、財産を根こそぎ奪われていく。 海の都の物語の最終章、ヴェネツィアが死に至るまでの細密で緻密な記述を 更に恐ろしくしたような巻だった。 ローマ亡き後の地中海世界も、その延長線上にあるといっていいと思う。 巻末にある美しい写真の数々には「希望はどこにもない」という一文が添えられている。 本書を象徴するような、この美しい景色と虚無の落差はどうだろう。 ここで少しだけ頭に過ぎったのは、(作者の頭中も掠めたと確信するが) せっかく刊行するなら、他に英雄が勇躍する歴史物語はどうなのかということ。 (アレクサンドロスで永遠の若さをテーマにするのは時期尚早なのですか?) また前々から思うのは、海の都の最後といい、ローマ人の最後といい、 塩野先生と付き合い、別れる男たちは皆、最後はあのような、 これでもか、というくらいの恐ろしい目に遭ってしまうのかということ。 もうひとつ、ローマ亡き後は、五丈原の孔明の死以後の三国志の記述も連想させる。 五丈原以後の三国志は、それまでの英雄が勇躍する物語から一転し、 裏切りと権謀術数の三国志へとガラリと変わってしまう。 手に汗握る知略の激突はもはやなくなり、無常観だけが三国志世界を覆う。 三国志の作者はこの無常観を本編として描きたかったために、孔明の死までの 諸侯の英雄譚を予告編として長々と記述したともいわれる。 「ローマ亡き後の地中海世界」をいきなり刊行しても商業ベースには乗らないだろうと いうことは、冷徹な作者が誰よりも一番わかっていたことだと思う。 「ローマ人の物語全15巻」があって、はじめて刊行可能だったということを。 作者もまた、ひとつの目的だけでひとつのことをする人では ないということを改めて痛感させられた。 三国志といい、ローマ人の物語といい、両者とも予告編が凄すぎる。 *** 歴史は人間の所業だと作者は説く。 見たくない現実も直視しなければならないように 見たくない歴史も直視しなければならないと、問いかけでもしているようである。 「英雄を愉しむばかりが歴史ではない」「歴史も人間も綺麗ごとばかりではない」 「恋愛にも似て、人間性には光もあれば、宿命的に内在する漆黒の闇もある」 という、魂の叫び声にも似た何かが本書からは聞こえてくる。 意図的かどうかはわからないが、ローマ亡き後の地中海世界に、 「カエサル」の文字は見当たらない。


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五木 寛之  
¥ 714(税込)
通常24時間以内に発送
ジャンル内ランキング:77位  
カスタマーレビュー数:8

くちコミ情報
五木流”大変な時代”の生き方を淡々と教えてくれる1冊。
世界恐慌などの話題に振り回され、これから、一体どうなるのだろうかという不安な人が多い現代である。 多くの人は、これから先どうなるのかと常に考えてしまう。 そのような悩みに対する著者の覚悟は「覚悟すること」だと言い切る。 金融資本主義はもはや崩壊し、これから、時代は大きくだろうが、物事の本質を明らかに見る と言う意味での「諦め」も必要だと言う。 世の中が、たとえ、どんなになろうが、我々は生きていかなければならない。そのためには「覚悟」することが必要であるということを、苦しい戦争の時代さえ乗り切って来た著者は 肩の力を抜いて淡々と教えてくれる。
覚悟が必要な時代
これまではまだそれほど頼らないという覚悟は必要でなかったかもしれない。 経済成長し、世の中が安定しいた時代には頼る=甘えるだけでもさしたる困難も無く生きてこられたのだろう。 しかし、これからは違う。著者の言うように日本はこれからは成熟からゆっくりと下降していく時代。根本的に考えを改めなければならない時期にきているのである。もはや国など当てにできないし、親子間、隣人間の争いも増えるばかりだ。 30年以上前に名著「甘えの構造」が著されたが、その後甘えは増幅するばかりでついに臨界点に達してしまった感がある。 甘えを克服するという観点からも、頼らないという覚悟、諦める=明らかに究める覚悟は大きな意味を持つのではないか。
私もまた悪人
精神的な苦しみを抱えて一年間ぐらいまともに本を読んでいませんでしたが、 ようやくどん底を脱しつつある中で、自分の気持ちをうまく整理してくれる本でした。 現実をありのまま受け入れること、そこから出発してまた自分なりに生きていこうと、 この本は思わせてくれました。 そしてもう一つ、人は皆悪人であること、我こそは正義や良識の持ち主であると考えている 自分もまた傲慢な一人の悪人にすぎないこと、を気付かせてくれました。 読み物としては、好き嫌いでしょうが、中盤が少々中だるみな感じがしましたので、 星を一つ減らしましたが、書かれている内容は私にとって間違いなく星5つです。
重さに唸る書
人間としての存在に感謝をし、生きることの有難さに思いを致した瞬間に、生き方そのものが変わることを、「覚悟」というある種過激なキーワードを使いながら解き明かす含蓄のある書。重みに思わず唸らざるを得ない。
いちいち胃の腑に落ちる思考と感覚です
 五木さんの文章はほんとに心地よく滑らかですべての細胞に沁みこむ感じがありますが、それは文章の達人というだけではなく思考の原点に五木さんの言われる「他力」を感じるからでしょうか?そしてまた日本人としての遺伝子の中に組み込まれて深く沈潜している心身や脳の記憶が呼び覚まされるからでしょうか?芸術家は普通の人が見えないものを見せてくれるといいますが、まさに自分の中に確かに潜んでいるのだけれど形として理論としてうまくまとめられないものを系統立てて呼び起こしてくれるような喜びがあります。  いちいち納得することばかりですが、戦後50年間日本国全体がこぞって躁状態にありその中で国民たちはある意味躁的に生きてきた、今その頂上を過ぎて下山(鬱)の時を迎えている。人生の春夏秋冬、またインドで分けるような四つの時期でいうなら社会全体が秋冬であり、林住期から遊行期になってきている。登山の時には足元しか見られなかったが下山の時こそ俯瞰して物事がよく見える。そして不合理で不条理な世界に身を置き、老いて或いは病を得ても尚生きて在ること、それだけで価値があると締めています。 覚悟とは、諦めて(明らかに究めて)頼らないこと。  自分の今後の生き方そして物事の理解の仕方の軸になる本です。お薦めです!


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くちコミ情報
深夜特急の完結
やっとこの本を読んで深夜特急の旅が完結したように思いました。深夜特急を夢中で呼んだ人なら楽しめる本だと思います。私も15、6年前に読み、旅の情熱を吹き込まれてからいろいろな街に行きました。ポルトガルのリスボンに行った時砲台の見える公園に立った時、沢木耕太郎もここに居たんだと思うと何か感慨深いものがありました。それは旅に出て本当に良かったと思う一瞬と沢木耕太郎への感謝の気持ちでした。
出会った時が最良の時
 僕は、26歳という沢木耕太郎さんがいうところの最もバランスの良い時期に、日本から飛び出せなかった人間だ。飛び出すことを考えないタイプの人間ではないのだが、その当時の僕はようやく定職についたばかりであった。  だから、沢木耕太郎さんの本は読んではいたが、はっきりとしたひがみによる嫉妬心を抱いていた。「深夜特急」に刺激されて旅立った人達すべてが羨ましかったし、旅立てなかった自分に苛立ったりもしていた。  この本は、そういう気持ち先走り型の中途半端な旅人に、何というかある種のなぐさめを与えてくれる。  自分だけの旅を見つけられるかもしれない、あるいは、僕自身がたどってきたこれまでの道が、僕だけのかけがえのない旅だったのだのではないかと思える、そんな気にさせる本であった。  まだ、読んだことがなかった(羨ましくて手が出せなかった)「深夜特急」を読み始めた。  
「経験が、感動や興奮を奪ってしま」う前に跳べ
名作『深夜特急』シリーズ誕生の前史や創作過程などの余滴部分を記したいわば本当の「最終便」作。云うまでもないが、本書の前にまずシリーズ全作を読むべき。(但し、個人的にはシリーズそのものに関る部分よりも、作家沢木耕太郎が誕生するまでの「彷徨する姿」を描いた部分が印象的であったことを告白しておく。) 「旅する力」それは広く云えば「偶然に対して柔らかく対応できる力」(272頁)という一言に収斂されよう。本書を読んで、私も大学5年生になる直前の春休みに、バックパッカ−としてクラコフ(アウシュビッツ収容所)やベルリン(統一前の東西両市)をはじめとする欧州各地を巡り、ただひたすらに歩きまくった2箇月程の安旅行のことを思い出した。嫌なこともあった筈だが、帰国後の「一皮剥けた」感じも含め、今では私の原体験の一つとして全てが美しい思い出となっている。「もちろん経験は大きな財産だが、未経験もとても重要な財産なのだ」(236頁)。 私が氏の名前を初めて知ったのは、かつて父の書斎で偶々手にした「展望」1976年4月号の「長距離ランナーの遺書」を一読したときであるが、それにしても氏の明晰なそれでいて思いの籠った文体にはいつ読んでも魅了される。おそらくはより深き成熟に向かって今後も飛翔を続けるであろう氏の益々の活躍を楽しみにしたい。
深夜特急を通した旅論
深夜特急本編の秘話や裏話公開!というほどの内容ではないので、 過剰な期待は禁物だが、 深夜特急に即した中での、沢木さん自身の旅とは何かが語られていて、 旅をしたことがある人、深夜特急を読んだことがある人なら、 うんうんうなづきながら読めると思います。 私にとってはやや一般的な旅論的話よりも、 デビュー直後の沢木さんのライター活動が、 非常に興味深かった。 深夜特急をもう一度読みたくなりました。
旅を通じた人生の本
私は妻と子供2人(小学生)で2006〜2007年に1年間 世界一周に行ってきました。中南米〜アフリカ〜中東〜アジア。 経営コンサル・講演家の仕事を中断して。 当時はそれまでのダメ人生が好転していた時でしたが、 沢木さんも最初のピークの時、あえて捨てて旅に出た。 だから、あえて捨てて行くのだと。 結果は・・帰国後はスグに仕事も復活し、むしろ倍増。 私の本もベストセラーになり、妻と子供が書いた世界一周の本も出ました。 スゴイのは、世界の途上国にある日本人安宿には、かならず「深夜特急」があり 私もあらためて全巻を読み直しました。最高でしたね。 素晴らしいです。大人の深夜特急。 これは偉大な人生本です。


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中身には関係ないが、、
読んでいて少し分かりづらい言い回しが多かったように感じる。 訳本を読んでいるみたいなところが多かった。 言葉の当て方や、一つの件に対する焦点の当て方。色々詰め込 みすぎで散漫になってる気がした。 そして、話の進行の前後など、僕はあまり気持ちよく読めなか った。 同じ日本人なら土井さんの著書の方が素直に読めた。確かに贔 屓目なところはあると思うが。。 文章の書き方や好き嫌いで僕は単純にそう感じてしまった。
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私にとってチェ・ケバラは名前も知らない人でした。 ちなみに30代です。年上の夫に、私の読んでいる本を見て チェ・ケバラを知らない日本人なんかいるのか!!と言われ ややむかつきながら、読みました。 初めて読んだチェの本としてはよかったですが、そんなに英雄なのかな?? まあ、知識として知っておく、肯定的で正しい知識を持つと言う意味では 有益でした。でも・・・今のアンダー40の人達ってあんまり知らないと思うよ だから、そういう人は、おじ様たちに馬鹿にされないように読んでおくべきかな??
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細かな描写についてはフィクション・ノンフィクションあるだろうが、まず読み物として面白い。 また、本書を通して彼が選び辿った人生に心を揺さぶられた。人がここまで献身的で険しい選択をし、それを生涯貫くことができるのかと。 彼が敬愛される理由は、結果ではなくブレのない生き様そのものだろう。 彼を知るには持ってこいの一冊。
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「キューバに一人旅に出てみよう。じゃあチェゲバラについて詳しく調べてみよう。」とこの本を読みました。実際にキューバで革命博物館を訪れてみると、チェの写真を見て涙が出そうになりました。いきなり「ゲバラ日記」を読んでも背景がわからず初心者向きではありません。この本には著者の強い愛がこめられていると感じました。


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ずっと心に残る
テーマが壮大すぎてまだ頭がごちゃごちゃしてますが、 ひょっとしたら人生観を変える本になるかもしれない と思ってます。 人は絶対死ぬし、大切な人の死、自分の死も決して 避けて通れるものではないけど、静人のお母さんの様に 最後まで人を気遣う事を忘れずに明るく生きていけたら 素敵だなと思いました。 静人の様に、自分と無関係な人の生死に関心を持って悼み続ける 何て事は普通の人には無理だと思うけど、とにかく他人も自分と同じ たった1人しかいない人間なんだって事を忘れずに、尊重して生きて 行くことが大事だって事を教えられた気がします。
生と死、軽と重、有為無為と。
全編に貫かれているのは、人間の生と死に対する作者の想い。人間の尊厳の存在を確かめているように、時に創造しているように、さまざまな角度から、ひとつの深遠なテーマに切り込む。 ライター蒔野は、死や暴力、愛憎などばかり求めるような、浅はかな読者の心を掴むよう、時に人権を軽視したような演出や、捏造とも思える記事を書き、書かれた人間を傷つけ、また自分自身にも、世の中も憤る日々の中、主人公静人と出会う。その静人の母、巡子は、末期の癌を得、残された日々の中、静人の真意に思いを巡らし、また、自分の死、周りに残される人達にとっての自分の死、静人が放つ波紋に向き合う。夫を殺した倖世は、殺した夫の亡霊に取り付かれたまま、絶望の中、夫を殺した現場で「悼み」を行う静人と出会う。 特別では無い死は無い。誰しも多かれ少なかれ愛し愛された経験があり、誰からも忘れ去られてしまっても良い存在では無い。また、誰しも自分が忘れられてしまうことを望んでいない。平凡な日常では忘れ去られているか、経験したものにとっては深く心の傷となったり、押し殺してきたような現実を、はっきりとしたテーマで書いているが、深遠なテーマゆえか、答えははっきりとは導かれるわけではない。それでも、8年もの長期間を掛け、実際に作者本人が「悼み」を行い続け書かれた、とてもよい、と思える作品でした。
自分を悼んでくれる人を待っている
全国各地の事件や事故死の現場を訪れ、死者を悼む放浪の旅を 続ける男性を中心に、彼の家族、彼に接することで変わっていく雑誌記者や、 彼とともに歩き続ける夫殺しの過去を持つ女性の姿などを描いた小説。 読み終えた時に「本当にこんな人がいたらなあ」と思わずにはいられなかった。 不慮の死の瞬間、人はとても怖く寂しくどうしようもない孤独感に襲われるだろう。 このまま消えてしまうのか、と。でも、こうしてこのまま消えても きっと誰かが、自分の存在を、 自分がこの世に存在し、何事かを為したという事実を覚えてくれているという 安心感があったとしたら… 人の死に軽重をつける、時が経つほどに人は他人の死を何事もなかったかのように 忘れていってしまう…     人はだいたいいつか死ぬ生き物だし、 そもそも一人一人の他人の死について考えてなんていたら自分が生きていけないし… そう考えるのが当たり前なんだろうけど、 はたして本当にそう片付けるだけでいいのだろうかとつい考えてしまった。 「人の死に少し思いを馳せることで、命の重さのバランスが 変わっていくはずだ。」作者が言っていた言葉が、印象に残る。 重いテーマではあるし、そういうのは好きじゃないという人もいると思いますが 個人的にはやはり人に読むことを薦めたくなる本です。
悼みに取り憑かれた者
 「悼む人」=静人のキャラクターは、次第に掘り下げられていって良かった。非常にうさんくさい人物が、読むにつれどんどん純化されていくような気がした。周囲の者達が静人を胡乱な目で見、挑発し、遠ざけようとする。  ただ、作者自身の祈りに似たような気持ちが強すぎて、不純な私は少し鼻白む思いだった。ストーリーも登場人物も、どんどん純化されていきすぎる。これでは私のように取り残される読者もいるだろう。  登場人物達の名前が、あまり周囲にいそうにないのは、作者の誰をも傷つけたくないという気持ちが反映されたものだろう。だが、原罪という言葉を持ち出すまでもなく、他者を踏みつけにして生きている自分と折り合いをつけなければ、世の中のすべての人が静人みたいな廃人になってしまう。「包帯クラブ」から一歩進んだこの路線は、いったん見直してほしい。このままだと天童さん、あっち側へ行っちゃいそう。
印象に残らなかった
タイトルと、本のたたずまいに惹かれて手に取りました。 丁寧に、丁寧に、祈るように綴られた物語です。 淡々と、3日程で読み終わりました。 つまらなくはなかったですが、青年が死者を悼む理由に それほど意外性がなかったり、物語全体が俗世を遥か離れていって しまいそうな世界観に貫かれたりしていて、 心に深くひびくところがあまりありませんでした。 ただ、末期がん患者がどのような経過を経て最期を迎えるのかが 感情から環境に至るまで仔細に書かれていて、特に死を迎える 数日の描写がリアルでした。手遅れのガンになったとしても こんなふうに充実した死を迎えることができるんだなと、 そこは新鮮に感じました。


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石神哲哉に幸あれ
本作は直木賞受賞作品であり、私事ですが、 私が初めて東野圭吾を知った記念すべき逸品です。 このたび文庫本となって変更があったのは、 湯川学の身分が「助教授」から「准教授」にきちんと修正されていた点です。 本作は、カラクリ+心理描写という、近年の東野圭吾作品の魅力を十二分に発揮しています。 東野作品を約50冊読み漁った上で、やはり本作は絶妙なバランスを備えていると考えます。 とりわけ、後者の心理描写については、 不細工な男が恋におちて、切なすぎる「献身」をするというのですから、 個人的に、感情移入せずにはいられなかったです。 たしかに、花岡靖子の心理描写はおざなりかもしれないし、 彼女が「献身」に値する人物かは評価は分かれるでしょう。 でも、石神哲哉は好きになってしまったのです、そこに論理的理由なんかはない! 徹頭徹尾論理的に生きるのなら、花岡親子なんて切り捨てるべきなのです。 それができなかった石神、冷徹なカラクリすら実行できる彼のそんな部分に、 読み易い娯楽小説とはいえ、人間性の奥深さが良く表れていると思うのです。 ちなみに、映画も好評なようで、DVD入手を心待ちにしていますが、 石神=堤真一は、ちょっとイメージとずれます。男前過ぎるような…。 個人的には、温水洋一さん辺りがぴったりですが…。 あと、湯川=福山雅治はそれほど違和感はないのですが、 記憶違いでなければ、著者は当初佐野史郎さんをイメージしていたそうです。
本格ミステリーとしては傑作だが……
『秘密』以降は本格推理物が少なくなっていた東野作品ですが、この作品のトリックはなかなかのものです。 本格ミステリー大賞受賞に相応しい名トリックだといえるでしょう。 犯人当て形式ではなく、倒叙形式の作品ですが、このトリックはあっと言わせられました。 伏線の張り方も上手い。 このように、“ミステリー”の要素に限れば、文句なしに星5つの評価を与えたいのですが、この作品を「純愛小説」と捉えてしまうと違和感を感じる所が出てきてしまいます。 まず、多くの方がレビューで指摘されておられるように、登場人物(特に靖子)の心理描写が薄い。 相手に対してどのような想いを抱いているかの描写が不足しているため、ラストのシーンに今ひとつ感動しきれませんでした。 『秘密』のラストの衝撃・感動に比べればどうしても見劣りしてしまいます。 そして、これはトリックそのものにも関連することなのですが、犯行偽装のためのものとしては秀逸なトリックのある部分が、「純愛」のためであったとしても一線を越えた所があったと思います。(ネタバレになるので詳しくは書けませんでした。) セールス・大衆受けを意識して「純愛小説」というものにこだわりすぎたため、せっかくの本格推理の傑作になり得た作品が、東野作品の良作群の1つとしての枠内に留まってしまったような気がします。なんだか、もったいないなぁと。 そうはいっても、東野作品の中でも上位に来ることは間違いない出来ではあり、東野氏の作品でなければ星5つにしていたとは思うのですが、『百夜行』、『秘密』、『悪意』といった作者の他の代表作に比べるとどうしても見劣りしてしまいます。 それらの作品に匹敵する名作という期待が大きすぎたこともあって、この評価になりました。
●さあ、映画を観よう!!
この作品は、映画化され、、ロングラン。既に映画を観た者としての感想。 これだけロングランしているのは、今の日本人が求めているのは、日本社会への怒りと絶望、孤独感。それらからの、解放。少しだけでも良い。人間味があり、納得する愛の在り方と信頼。 涙が少しでもにじんでしまう作品である。 ドラマに比べ、最高。福山雅治と柴崎コウのコンビは健在であるがベタベタさせていない。湯川に匹敵する天才数学者白神を登場させたのはまことにツボをを心得ている。ワクワクさせる。 『怪人二十面相と明智小五郎』 『怪盗ルパンとシャーロックホームズ』 それ以上か。 湯川が危ういという場面あり。今までそのような状況に湯川が置かれたことは無かった。 まさしく、献身。 最後の柴崎の言葉が良い。 「白神さんは○さんによって生かされていたのですね」 納得する映画。 そして、日本の現状況も納得する。 日本国民も捨てたもんじゃないなぁと思ってしまう。
数学と恋愛
人を愛することはどうしてこんなにも切ないのでしょう。 数学に関しては天才的な頭脳を見せ 行きずりの犯罪をここまで完璧な完全犯罪に仕立てることができるのに。 この作品は推理小説としても楽しめるけれど 恋愛小説としても読み込んでいけます。 決して幸せな結末ではないけれど 誰かを愛することは、もともと、このくらい重みのあることなのかもしれませんね。
身を捧げる人生が、哀れ。
最後に謎解きがあり、タイトルの「献身」に、深い意味があったことがわかります。同時に、容疑者に同情すらしてしまいます。こんな人生もあったのか、と。 ただ、数学が随所に出てくるのですが、数学を使わなくても解ける推理だったのでは…。


おすすめ度

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カスタマーレビュー数:9

くちコミ情報
読むのが苦痛とまでは言いませんが・・・
またもや巻頭と最終章だけあればあとは・・・ 今回は複線も少なく、しつこいぐらい書かれるヨナ博士の心象風景や、舞台設定の説明は誠に申し訳ないですが読み飛ばしました。読み終わって、改めて読み直す必要もない事を理解しました。 最近のグインははじめちょろちょろ中まったり、最後に少しのサプライズ的な巻が多いような気がします。 結局読み飛ばしてしまっても全く問題のない部分が多すぎるところが問題なのだと思います。こんなに辛口に書いておりますが私も124巻を全て買って読んでいるのです。かれこれ二〇年を超えるファンだからこそ、数十ページを読み飛ばしても何の問題もないような巻は読みたくないですね。 作者の体調も気になります。書き上げていただきたいからこそ迅速な展開を望むのは本末転倒かも知れませんが・・・ 次巻に期待します。
序章の次は。。。。?
ミロク調査ためにヤガへむかうヨナの道中をつづっています。 ナリスの墓参りとか、ちょっとなつかしくなりました。 どっちかというとエピローグみたいな静けさ。 ブランもカメロンのもとへ到着して、ヤガへむかうことになる。 この巻の最後では、スカールもでてきます。 ヨナとスカールとブランは、イシュトヴァーンに ゆかりのあるものどうし、きっとヤガでごたごたを 繰り広げてくれるんだろうな! この巻は、グインもイシュトもでてこないです。 ヤガでこのふたりがからむことはなさそうな。。。。 とすれば、はなしはどこへむかっていくのか? うーん。
著者の本復と物語の大団円を切に望む
グインサーガが既に完結している物語であれば、また読み方も違うが、著者が肝臓癌で手術したことを知っている読者は、この物語が未完で終わることを懸念しながら読んでいる。もちろん著者自身が一番不安に思っていることではあるのだろうが・・・。 これまで物語がどんどん延びても何とも思わなかったが、あとがきで体調のことを書かれると、これまでのように純粋に楽しめない。 著者の本復と物語の大団円を切に望む。
風雲の序章の次巻にしては地味すぎ
前巻でのイシュトの野望がどう進展するのか期待していたのですが、イシュトもグインも登場しません。フロリーとスーティを追ってゴーラからはブラン、パロからはヨナが旅立ちます。 ヨナの述懐が必要以上に多く、モース博士とのやりとりなどもあり、物語の進行は遅いです。 ラストのミロクの巡礼一団に降りかかる悲劇も「どうなんだろう」という感じがしました。 ヨナ編ははやく切り上げてイシュトやグインで話を進めてもらいたいです。
大湿原の観光案内と、ヨナの旅
 今年最後のグイン・サーガです。  今回は「ミロクの巡礼」というタイトル通りでミロクの巡礼の旅を通しながらのダネイン大湿原の観光ツアーとなっております。。。つまりは、ストーリーは大枠で進んでおりませんし、タイトルから「あ、フロリーとスーティのその後だね」と思っていたらば二人はまったく出て来ないという予想外のオチまでついてきます。  では誰が旅しているのかというとヨナ・ハンゼ博士です。彼が、物語に大きく今後影響してきそうなミロク教の聖地であるヤガに向かって旅をしていきます。その旅の中で色々と回想したりなんやかやをしていき、物語の最後でとある人物と出会うことになるというのがこの巻のお話。本当に進みません。  感想を率直にいえば、もうちよっとはストーリーを進めてもいいかなと思うのですが、今回旅したダネインはグインサーガの初期の初期から名前だけはたびたび出てくるものの本編では描写がなかった地区なのでそう考えればまぁこれはこれでよいのかな。ただしダネイン大湿原って本当に見るべきものがない土地なんで、やっぱりもう少しストーリーを進めてもらってもいいでしょうか。  この巻の最初の方でカメロン船長とかが出てくるあたりはびしっとストーリーが引き締まるのですが、後半はまさに観光案内でした。ミロク教のありようやら、最後の最後でヨナが出会う出来事から何を読み取って行くのかどういう風にミロク教が変質・世の中に浸透していくのかを推理想像していく楽しみはあるものの、もう少し進んで欲しかったです。   著者がいうには、初期のローマ教のようなものとして想定されているようですが、どの国家がそれを庇護するかという話になるとなかなか想像がつきづらいところです。ともあれ、気になるのは著者の栗本薫先生のあとがきのほうで、それを読むとかなり体調がお悪いご様子で、あの栗本薫先生が1時間とパソコンの前で原稿が書けないそうで、それがかなり心配です。本編が終了しないまま終るのではというような事態は避けたいので、無理せず逆にゆっくりとでいいから健康に注意して書いていただきたいものです。