2010年03月19日(金) 歴史の第1位は
『岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)』!
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¥ 819(税込)
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カスタマーレビュー数:3
【くちコミ情報】
個性の強さが、時代とマッチ
本書は、岩崎弥太郎・弥之助兄弟を中心に、その子供たちを含む三菱四代を題材にした史話である。(「まえがき」より) 弥太郎、弥之助、久弥、小弥太、四人にまつわる逸話を紹介してみよう。 重役の石川七財だけは、どうしても武士の気風が抜けきれず、顧客に頭を下げることができなかった。これを知った弥太郎は、ある日、小判を描いた扇子を石川にプレゼントし、「客に頭を下げなくてはいけないときには、俺が与えたこの扇子を開き、小判にお辞儀すればよいのだ」/とアドバイスしてやった。以後、石川はその態度を改めるようになったという。 困った部下がいても、ユニークな方法で解決している。見事なものだ。 意外なことに、弥之助は強硬な日露開戦派だった。ロシアの脅威を取り去らない限り、日本に平穏な日々は訪れないと考えていたのだ。そのためには、有力な政治家が協力して戦争に邁進できる体制を整えることだと信じたのである。 私の勝手なイメージとして、政治家が主体となって、有力な企業から金脈を得、政治資金として活用する、そんな仕組みが頭の中にあった。その真逆をやっていたのだな、と知った。 岩崎久弥という男は、親友にさえその素性を語らぬような、きわめて寡黙な青年であった。/ただし、寡黙であっても、消極的なわけではない。自分は黙って、とにかくよく人の話を聞いた。たいへんな聞き上手で、部下たちは久弥の前だと存分に自分の思いを告げることができたと証言する。 私もまた寡黙である。しかし、人の話を聞くのが苦手だ。あるいは、人の話を聞けないから、自分の話もできないのかもしれないのだが。久弥は、不言実行の男である。 相撲取りを投げ飛ばしてしまったという逸話があるくらい、岩崎小弥太は巨漢であった。/最大時は三十三貫、キロ数にして約百二十四キロ。堂々たる体である。 名は必ずしも体をあらわさない。小弥太なのに、巨漢とは。
弥太郎がいい!
岩崎弥太郎が魅力的です。強すぎる自我で、衝突の絶えない性格だったようです。近くにいる人は迷惑しょうが、でも憎めない感じですよ。 例えば、親父が飲んだくれて庄屋にケチをつけて、取り巻きにボコボコにされて帰ってきた時の事です。親子で奉行所に訴えたが相手にされず、腹いせに奉行所の白壁に「役人は賄賂をもらっており、訴訟は愛憎で決定してる」と奉行所の悪口を書いてしまったことなど、随分ととんでもない奴だと思いませんか。でも、奉行所も後ろめたいのか、一度目は白壁を上塗りして不問にしたのを、弥太郎はもう一度その白壁に同じ事を書いてしまって、今度は奉行所も怒って、弥太郎を牢屋にぶち込んでしまったそうです。笑っちゃうでしよ。 しかし、そのとき牢屋に入ったことで他の囚人から簿記などの商売の基礎を学んだというのだから、人の人生なんて分からないものですね。 やがて藩命で長崎に赴任したのですが、今度は女に入れあげて公金を使い込み、結局その仕事は自ら辞めてしまったというのも、そこだけ読めば相当な駄目人間です。 子供の頃は物覚えが悪く、学業がてんで駄目だったというのも、個人的には共感します。 やがて商売人として成功するのですが、弥太郎の時代は三菱はほとんど海運だけの会社だったことは意外でした。 明治14年の政変で負けた大隈側の資金源と見なされた三菱は、政府が創った共同運輸に競争を仕掛けられ、これに応じた弥太郎は共倒れ寸前までの死闘を繰り広げたそうです。成功しても丸くならない所がいいでしょ。 弥太郎の跡を継いだのが弟の弥之助です。こちらは温厚な性格でした。しかし経営は大胆で、まずは共同運輸と手打ちをして海運から撤退し、その後は鉱山の買収や造船所の構築、丸の内の土地購入と進め、現在の三菱の基礎を作りました。 著者の人生訓が所々に入ってるのが鬱陶しいですが、そこを読み飛ばしてしまえば、概ね楽しんで読めます。
こんな時代だからこそ価値のある1冊かも……
帯に カネと女を使い ハッタリで成り上がった男の 経営哲学 と、いかにも幻冬舎らしい惹句がある。 しかし本書を読んでいくと,決してそうした面白半分の内容ではないとわかる。 創業者岩崎弥太郎だけでなく、2代目弥之助(弥太郎の弟)の功績など、 かなり客観的に記述してある。 たしかに三井、住友に比べ、維新のドサクサで成り上がった……という面もある。 だがそれから昭和、大正の不況を乗り切って今日の三菱グループをつくった手腕は それなりに評価されるべきだろう。 決して「カネと女」だけではないはずだ。 本書を読むと、4人の一徹なまでの経営哲学がよくわかる。 どん底にある日本経済。 いまこそ彼らのような経営者を……などと時代錯誤なことは書かない。 時代背景はまったく違うからだ。 しかし、ハッタリだけでここまで出来るほど経営は甘くはないはず。 やはり学ぶべき点はあると思った。 4代それぞれに個性があり、良質のノンフィクションとしても 読み応えはあった。
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【くちコミ情報】
出版社にがっかり
大河ドラマの「龍馬伝」で、今までは全く関心を抱けずに来てしまった日本史に関心を持つようになり、 試しにこちらを買ってみました。 教科書のような、「です・ます」調の書き口ではなく、 「〜なんだよね」「〜だよ」等の口語的?な書き方がしてあったり、 読みやすいと感じました。 ただ、まずは今最も関心の高い幕末のところから読もう!と読んでみた所… 龍馬・竜馬と同じ「坂本龍馬」のことなのに、名前の漢字が同じページないで異なっていて… え??歴史の本なのにいいかげんな!! これは、出版社に教えてあげよう。きっと直したほうがいいと思う。。。と、電話しました。 ところが、編集の方のお答えは「だからなんですか?」でした。 えー???? 思わず絶句してしまいましたが、「では、どちらが正しいのですか?」とお尋ねしてみたところ 「NHKのドラマでは「龍」が使われていますけど、どちらでもいいんですよ。」と。 実際に生きていた日本人の名前なのに、そんなことでいいのでしょうか… 「同じページ内で、違って書かれていますよ。」とお伝えしたら、 「それは直したほうがいいと思います」とシレっと返されました。 なんだかとっても他人事の様な口調だったので、すでに何度も重版されているようですが、 きっと今後も直されないままなのではないでしょうか… なんだか、この本自体がとてもいい加減な本に感じてしまい、 もう読み進める気が起きなくなってしまいました… 他の本もこんなものなんでしょうか…
軽い言葉で書かれてはいるが、書いた人・作った人の親切丁寧な姿勢が伝わってくる
「もういちど読む山川日本史」に続けて、より日本の歴史をしっかり記憶に留めるため購入 偶然だがこの順番は正解 前出の「もういちど・・・」が教科書なのに対し、こちらは塾で人気の歴史の先生の講義 学校の授業の後、塾の講義を受けたあの感覚です 軽い感じの文章だが、ポイントを抑えて日本の歴史を教えてくれる(テストに対する効率と言う点ではこちらの1冊に軍配) 振り仮名も大目に振ってくれてあるし、中学生レベルではちょっと難しいかな?といった言葉(歴史用語だけではない)には、その都度説明も付けてあり非常に親切 老若男女を問わず、日本の歴史を知りたい(復習したい)人にお勧め出来る1冊だ
失敗
普段余り本を読まず、歴史に興味のない私ですが、 ふと歴史の本を読んでみようとアマゾンで探していたら この本が売れてるみたいなので買ってみましたが失敗でした。 初心者向けと書いてありますが、私には難しかった。 文庫本で文字が小さいのも苦手ですが、この本は普通の文庫本よりも行間が狭く、 びっしり文字が詰まっていてそれだけでも読む気が失せる。 内容も、○○が○○を殺した、文明開化とは…○○、 ここは試験に良く出るので覚えておくように、 などと難しい教科書を読んでるような感じがして、断念した。 レビューの評価が高かったので安心していましたが、 本は書店で、自分の目で確かめないと駄目だと痛感。
良書ですね
よく工夫がされ、よく書けている日本史入門だと思います。 大学入試を日本史で受験したぐらいだから、かなり詳しかったはずなのに、 すっかり忘れているのか、それとも山川の教科書にはそのように書いていなかったのか、 「あれ?そうだったっけ?」と、勉強になることが多いです。 特に良いと思うのは、因果関係、「流れ」をつかみやすいことです。 なぜ鎌倉幕府が衰退したのか?なぜ応仁の乱が起こったのか?…等々。 尊王、攘夷、倒幕派が入り乱れる江戸末期のややこしさも、手際よく解説している。 逆に言えば、教科書の記述が無味乾燥すぎるのですね。 くだけた表現とか、そういった文体のことを言っているのではなくて。 教科書は「ああなった。また、こうなった。さらに、ああなった」というand,and,and…の書き方です。 本書は「こうこうだから、そうなって、その結果、こうなった」という書き方だから、 ecauseの部分がしっかりしている。 そもそも、教科書ってのは、 ecauseの部分はハッキリと書きにくいですね。 たいてい、 ecauseの部分は、愛憎、嫉妬、思い込み、ヒガミだったりするから。 でも、そういった人間の本性みたいなのが、歴史を理解するうえで重要なのだと思います。 というわけで、歴史を暗記科目としか感じていない中学生、高校生あたりに、ぜひお奨めしたいです。 だいぶ勉強が楽になると思います。
いいと思いました
「誰でもわかる日本史」的な本が多数あり、それらの中では、強い傾向性のある井澤さんの本を除いていえば、自分の考え・捉え方がハッキリしている点で好感を持ちました。というか、教科書の抜粋みたいな本が多すぎるのでは?と思っていました。 軍隊を持たないのは日本だけ、の件は確かに筆が滑っている感がありますが、コスタリカについても、徴兵制度があること、国家警備隊があること等から、これを持って反証とは言い切れないのでは。むしろ、自衛隊はどうなの?という切り口のほうが実質的には意味があると思います。 そういう傷を抜きにして言えば、各時代のポイントが端的に、でもわかりやすくする観点では結構詳しく、書かれている点ではかなり優れていると思います。例えば鎌倉時代。源氏から北条への変遷を、政子の逸話だけでなく書き込んでいる点など、かなり良いと思いますが。
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R.P.ファインマンは1965年にJ.S.シュウィンガー、朝永振一郎とともにノーベル物理学賞を授賞した天才的な物理学者である。こう書くと「理数系が苦手」な人は逃げ出したくなるかもしれないが、そんな人にこそ本書を手にとっていただきたい。 本書は20世紀を代表する天才物理学者の自伝ではない。R.P.ファインマンという人生を楽しむ天才から我々への贈りものである。 「ファインマンと聞いたとたんに思い出してもらいたいのは、ノーベル賞をもらったことでもなければ、理論物理学者であったことでもなく、ボンゴドラムでもマンハッタン計画でもない。僕が好奇心でいっぱいの人間であったということ、それだけだ」といつも言っていた(下巻訳者あとがきより)。 「なぜだろう?」といつも好奇心いっぱいの子どものように世界を見て、いったん好奇心をひかれたらそれに夢中になり納得のいくまで追求する。彼は一切の虚飾と権威を嫌い、相手がそれをかさに着ているとみるや容赦しなかった。それは、そのような態度が、楽しいはずの真実の探求を邪魔する厄介なものだったからである。 上巻では、彼の少年時代、物理学者としての修行時代、また駆け出しの物理学者として携わったマンハッタン計画から終戦を迎えるころまでのエピソードが収録されている。どの時代においても彼はその状況を最大限楽しみ、そして、決して流儀を変えなかった。 自分が理系か文系かなんて関係ない。もし少しでも本書に「好奇心」を持ったなら、ぜひ一読をおすすめする。(別役 匝)
【くちコミ情報】
前向きリチャード・ファインマン
このノーベル賞物理学者は、私が高校の頃英語の教科書に出てきました。それでたまに思い出す存在になっていました。 この人は第二次大戦で米軍にわりと積極的に協力して、マンハッタン計画にも参画しています。そのことについてはべつにそれほどはやましさを感じていないようです。 そのことは日本人としては違和感を感じもするけれど、とにかく本人は前向きで好奇心旺盛です。いたずらをしたがる人物だったようです。MITでドアを外して隠したり、イタリア語の物真似をしたり、催眠術にすすんでかかろうとしたり、アリの行列をわざと作ったり。 なかでも金庫破りの章は驚きでした。 地位や外見にこだわる人ではなかったようです。 バーで酔っぱらいにからまれる辺りでも、喧嘩をすることなんて滅多になくても、殴られた後大学でわざと不良っぽくふるまってみたり。 一番心に残ったのは、スランプの時に抜擢話が持ち上がってこのように思ったというところ。 「自分は自分以外の何者でもない。他の連中が僕をすばらしいと考えて金をくれようとしたって、それは向こうの不運というものだ。」
愉快!痛快!
物理学者としてのファインマンさんの凄さは私ごときにはさっぱり検討もつきません。 でも、ファインマンさんが人としていかに魅力的で、人生をいかにして喜びで満たしてきたかはよーくわかりました。 (上巻)ではファインマンさんがまだ小学生だった頃の話や大学へ入ったばかりの頃の話も出てきます。 ラジオをいじって楽しんだり、なじみのレストランでチップを使ったいたずらをしたり、大学の寮では寮生の部屋のドアを隠したり。 (下巻)では大人になってからのエピソードばかりですが、ファインマンさんの凄さは加速度的に増しているように感じました。 ファインマンさんは物理学者として早くから一流の道を歩んでいたようですが、 ストリップバーに通ったり、そこが訴えられたときは証言者として立ったり(有名大学の教授なのに!)、 絵にはまったり、ポルトガル語を勉強したり、打楽器にはまったり、蟻を観察したり、 とあまり関連性がない事にもどんどん首を突っ込み、様々な事を積極的に楽しんでいるようでした。 そして持ち前の探究心、追求心でもって関わった物事に着いては大真面目に取り組んじゃいます。 徹底して取り組むから、きちんと上達する。ほんと、お見事です。 物理学者としてだけでも多くの人が歯が立たないくらい超一流であるにも関わらず、 それを鼻にかける事なくあくまで一魅力的人間であり続けるファインマンさんはとっても素敵です。 上下巻共に、短めから長めまで、色んな愉快なエピソードがちりばめられています。 面白くてクスクス笑ったり、頭の良さに感心したり、ともかく気分よく読み進められます。 素直にスクスク、自らの強みや好きな事を大切に育て上げて来た人なんだなぁと思います。 身近にこんな人がいてくれたらさぞかし楽しいだろうなぁと思います。
物理のことなどほとんど書いていない!
リチャード・ファインマンは知らなかったのですが、とても楽しかったです。 本書の中で印象に残ったのは、ファインマンさんでさえも 物理に対してモチベーションが下がった時期があったんだなぁと いうところです。 しかしそれはファインマンさん。 「物理で遊んでいたのが本来の自分」と初心に戻り、 再びモチベーションを上げていきます。 空中に舞った皿を見て、その法則を見つけ出し、人から 「そんなこと、意味あるの?」と言われても、楽しいから いーじゃん、みたいな感じのスタイル。 (その皿が、後のノーベル物理学賞に繋がったと聞きます) 下巻はまだ読んでおりませんが、下巻もぜひ読みたいと思います。
ファインマンさん最高!
「考えるだけでラジオを直す少年」という章を読んだとき、やっぱり天才は 違うよな、凡人とは違うんだな、って思い始めて、才能に恵まれた人の書い ていることだと思い始めたら、だんだん読むのが嫌になってきました。 でも、読み続けていると徐々にファインマンさんの魅力に引きずり込まれて、 結局全部読むことになってしまいました。 下巻は上巻よりもさらにくだけた内容になっています。絵画や音楽など、物 理とは関係の無い世界でも人に認めてもらえるまでになるのはすごいなと素 直に思いました。物事の本質を捉え、何でも試してやってみる、最近現地現 物などという言葉を聴きますが、それを何十年も前に実践していたファイン マンさんに脱帽です。
いたずら大好きの大人
量子物理学で、ジョークが大好き、いたずら大好きのファインマンの本です。この本を読んでいると、ファインマンのファンになってしまいそうです。本日は、この本から一流の科学者に関するエピソードを紹介します。 ロスアラモスで原爆の開発に参加しているとき、コンプトン、トルマン、オッペンハイマーという有名な科学者と一緒に若いファインマンも会議に参加したときのエピソード。 この会議のメンバーは、皆それぞれ新しい事実を考えにいれて実にさまざまな意見を発表していながら、一方ではちゃんと他の連中の言ったことも覚えているのだ。しかも最後には一人一人の意見をもう一度繰り返して聞かなくても、それをちゃんとまとめて誰の意見が一番良い、と決めることができるのである。これを目のあたりに見て僕は舌を巻いた。本当に偉い人とは、こういう連中のことを言うのに違いない。 一流の科学者は、自分の意見を言いつつも、もっとも適した答えを誰が言っているのかを考えているというところに感心します。
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【くちコミ情報】
待望のシリーズ最終巻
岩波新書シリーズ日本近現代史、待望の最終巻。 内容は、シリーズのこれまでの書の著者による担当巻の簡単なまとめと補足が主。「である調」から「ですます調」に変わった点からわかるように、より取りつきやすいものを目指したのだろうと思う。シリーズへの導入にも最適だろう。 章ごとに著者によるお薦めの5冊の紹介があるのも良い。 シリーズのテーマである、「家族」「軍隊」「植民地」を主題にして近現代日本の通史を描くという目的は果たされていると思う。 本書自体、相当に内容が凝縮されているのでさらにまとめるというのは、あまり意味がない気がするので、本書の内容に大して述べることはしない。例えば3章では20ページそこそこに、「社会」「教育」「軍隊」「経済」「国際」「マスメディア」という主要なテーマがわかりやすく、簡潔に詰め込まれている。 欲をいえば「なぜ近現代日本の通史を学ぶのか」という終章の内容を厚くしてほしかった。1冊まるごと終章の内容でもよかった。 1巻から8巻まで(2006年11月から2008年4月)の予告では、最終巻は宮地正人編となっていて、9巻(2009年1月)の予告では編がとれて、宮地正人氏の単著のようになっていた。実際に出てみたら、岩波新書編集部編になり、宮地正人氏は全く書いていなかった。やむを得ない事情があったのだと思うが、一流の歴史家である宮地氏の手による最終巻を期待していたので残念。 近現代史初心者から上級者にもお勧めできる良書。
最終章のまとめによると、このシリーズに通底している問題意識は家族、軍隊、植民地だといいます
1巻から9巻までの筆者が、シリーズ各巻で書き足りなかったあたりを補強する感じで書いています。 『幕末・維新』では《外交努力のできる幕臣を生みだした日本の政治の内的な成熟、そして売り込み商の蝟集をもたらした江戸後期日本の経済の成熟が、日本の民族的自立の広大な基盤となり、それらが明治維新全体の基幹となる地下水脈であったことに変りないのです》というまとめが感動的(p.26)。『民権と憲法』は読んでもスッキリしなかったのですが、今回の《客分として仁政を求める民衆と、国家を主体的に担おうとする民権運動とのあいだには基本的なズレがありながら、両者は反政府の一点で共振し、政府に大きな脅威を与えたのです》(p.35)で納得、『日清・日露戦争』で《日清戦争の報道により日本全国に「戦争熱」が生み出され、ひとつの「戦争」状況に参加することによって一体感が醸し出されました。そして「客分」としての意識しかなかった民衆が、「国民」という意識をもつようになった》(p.60)につながります。『満州事変から日中戦争へ』でニュルンベルグや東京裁判でも問題になった侵略戦争を国際犯罪とみなす必要性は《アメリカが主張してきた「無条件降伏」という戦争終結方式をドイツや日本に対して採る時、国民責任論のままでは「戦争に敗北すれば国民は奴隷とされていまう」と説く、敵国プロパガンダの格好の材料になってしまい、かえって絶望的な定項を招くので、国民と指導者とを明確に分断する必要があった》からだ、という加藤陽子さんの追記は素晴らしい(p.113)。 『アジア・太平洋戦争』の《そもそも単独で日中戦争に勝利できなかった日本が、新たに米英との戦いを開始しながら、どうして中国を屈服させることがでるのでしょうか》(p.134)という指摘はなるほどな、と。『高度成長』に関しては、20年後に同じようなシリーズが刊行された場合、高度成長というテーマは一冊を割くことにはならないと思いながら読みました。
日本の近現代史をどう見るか
岩波新書の「シリーズ日本近現代史」の最終巻。各巻の著者がそれぞれ担当した時代の核心的な問いに答える形をとりつつ、執筆の根本的問題意識や現在への問題意識を披露する。各巻のダイジェストとしても興味深く読める。「はしがき」にあるように、シリーズへの導入としても好適に違いない。 だが、シリーズ全巻をフォローしてきた身としては若干物足りなさも否めなかった。成田龍一による終章「なぜ近現代日本の通史を学ぶのか」はとても興味深かったが、むしろこのテーマにもっと紙幅を割き、様々な現代的問題(歴史認識、歴史教育、司馬史観etc.)にひきつけつつ4〜5人の執筆陣で座談会形式で議論するなどの工夫があってもよかったのではないか。本シリーズ執筆陣は第一線で活躍する研究者ばかりなので座談会形式で一堂に会するのはなかなか難しいのかもしれない(岩波書店は「思考のフロンティア」シリーズにおいては第一線の研究者らによる非常に刺激的な座談会ものをたびたび出すことに成功している。)が、このシリーズには楽しく学ばせてもらってきただけに、最終巻がまとめ兼イントロになってしまったのはちょっと残念だったかもしれない。 もちろんその点は評者の個人的な他愛もない感想であって、この最終巻の価値を損なうものではない。改めて各巻執筆の動機や構想が端的に示されることで、各巻の理解が深まるとともにもう一度読み直したくさせてくれる。各章末の推薦書リストもいい。シリーズ最終巻だが本書で日本を巡る思索の旅が終わることはない。改めて再出発するうえでの指針を示してくれる、「寄港地の灯台」のような一冊だと言える。
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無頼の武闘派としての実像
本書は1940年生まれの歴史民俗博物館名誉教授が2010年に刊行した本であり、天田愚庵(次郎長の養子)『東海遊侠伝』(1884年)を歴史学の視点から批判的に検証し、博徒清水次郎長(山本長五郎、1820〜93)の実像に迫ろうとした本である。次郎長は清水港の船持船頭の次男として生まれ、まもなく叔父の米穀商山本次郎八の養子となった。つまり彼は、富士川舟運で甲斐と結ばれた港町の、非特権的な新興商人の息子であった。しかし彼は養母との折り合いの悪さゆえか、博打と喧嘩に明け暮れ、1842年無宿者となって股旅暮らしを始めた。この頃から各地の親分の間で系列化が進行していたが、次郎長は旅先で個性的な子分を増やしてゆき、45年の庵原川出入りの仲裁、59年の乙川での裏切り者保下田久六の殺害、61年の石松の敵討(都田吉兵衛殺害)と菊川での手打ち式、その後の甲州博徒黒駒勝蔵との抗争を通じて、海道一の親分にのし上がってゆく。当時の日本は幕末の激動の渦中にあり、幕府は博徒を取り締まりつつ、治安維持のために利用してもいた。また尊王攘夷運動の激化とテロの横行は、博徒の兵力に目を付けた討幕派と佐幕派の双方からの博徒の召募を活性化させた。幕府に追われた勝蔵は討幕派として活動することになるが、結局政府に使い捨てにされ抹殺された。他方、次郎長は召募に応じず、戊辰戦争時には新政府と協力して清水の治安維持に尽力しつつ、咸臨丸事件の遺体処理で男を上げたが、駿府藩成立に伴って流入した旧幕臣の恨みも買った。しかし旗本山岡鉄舟との出会いは次郎長を改心させ、彼は富士山南麓開墾事業(挫折)や汽船割烹末広の開店などの生業を晩年に営み、74歳で畳の上で亡くなった。以上のように、本書は幕末維新期の経済史・政治史の流れの中で、偶像化される前の等身大の次郎長を描き出そうとした労作である。
もう買うのよそお
清水次郎長について読みたいとは思いません。明治の…と言えば「色川大吉」に行って恬淡としている礫川全次は全く期待いたしておりませぬが、高橋先生もそっちかい!と、まぁ突っ込みたくなりました。 戸羽山、長谷川、水谷で、今はあの在野史家シンジケートの親分かあ。最近は何で、こう先が読めるんですかねえ。なんつうか、フィクションつうよりレジメにしか見えません。 富士川舟運についてだって最後のページまで行って構わないんすけどね。なんつうか、書いてるっていうより書かされてる感じで。
幕末から維新の武闘派・次郎長
清水の次郎長こと山本長五郎(1820−1890)について知っていることは僅かだった。歌謡曲の♪清水湊の名物は、お茶の香りと男伊達・・・云々と、TVや映画で通俗化された姿ぐらいのもの。断片的な知識として明治維新時に東海道の治安確保に一役買ったということだけであった。 5章建ての本紙では、第3章まで、種本となった「東海遊侠伝」という本に則り、ヤクザ次郎長の手に付けられないほどの暴れぶりが活写される。武闘派という言葉がぴったりする。しかも、洋の東西、時の古今を問わず、ヤクザの闘いは凄惨だ。子分・石松が殺されるくだりや逆に仇を討つシーンの叙述は迫力があった。 一方、歴史家としての筆者の目は、黒船来航以降の幕末、維新の中で博徒の運命をきちんと位置づけている。また、名前のみ知っていた山岡鉄舟の生涯を跡付けてくれたのもありがたかった(4,5章)。第2章までは、少しクセのある、講談調の文体ですが、最後に近づくにつれ平明な語りとなって行きます。最初の方で読むのを投げ出さないで下さい。
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【くちコミ情報】
小説として読めば面白い
著者が主張する「真実」のベースになる情報そのものが元々著者の思い込みや推測であり、ベースとなる事象を証明する説得力のある説明も証明も無いのに決めつけた論調。 その著者の理屈に都合の良く解釈された、不安定なベース上に著者の陰謀論を組み立ててあるので、それを信じろ!と言われてもまあ無理な話ですね。 陰謀論は言い出せばキリがありませんが、こういったお話は興味深く面白いですね。 小説として読むぶんには、楽しく読めましたがどちらにしても中途半端なかんじでした。
一読の価値ありです
坂本龍馬の暗殺は謎に包まれていますが、それがなぜ謎なのかがこの本のポイントかなぁって感想です。いろいろな暗殺説がある中で一番意外な説だと思っていたし、かつ一番意外な人物だったことに、最後はビックリしました。説としては説得力があり、かなり面白かったですが、途中にグラバーや秘密結社「フリーメイソン」に関してかなりのページ(約280ページ)を割いていて、結局は直接的には無関係ってのが拍子抜け(黒幕だから裏ではつながっていますが)。背景を説明したいのはわかりますが、「意外な暗殺者」に関する記述が薄すぎでした。でも、一読の価値ありです。
教科書が教えない歴史
あやつられた龍馬の改題である本作品は明治維新と主に坂本龍馬に関して、考察、推理し さまざまな仮説を展開しています。 幕末維新の英雄である坂本龍馬 その龍馬の手紙は現存するものだけでも100通以上 あり、その配送手段には飛脚が使われました。 飛脚代は現在の価値でいえば1000万円以上かかっていたことになり姉への手紙代に しては羽振りがよすぎるし、論理的に考えてお金の出所が実家の才谷屋のみでは どうも無理があります。 姉の手紙と共に諜報主宛ての手紙があったであろうとの著者の指摘はあり得ます。 また郷士で脱藩浪人である龍馬に各雄藩の代表者がかしこまって会う理由がありませんので 諜報員であるという論理に破綻はありません。 アメリカの建国精神はメーソンの基本理念=フランス革命の精神でもあるので 作為的な陰謀論とも取れますが、陰謀論という仮説ではなく既成事実のみが歴史の真実 です。正史をよく熟知後、本書を読まれるといいと思います。 江戸の豪商、グラバー、アーネストサトウが鍵となっています。 (明治維新の重要なテーマは近代化であり、思想的には西洋に何ら劣る部分はなく そこだけ完全に骨抜きにされて今日に至っているように思う) なお、龍馬暗殺の犯人についてはあっさり本命である見廻組の今井信郎を否定しています。 龍馬が武市半平太を切腹に追い込んだ上士たちと和解し、仲良くしていたこと を同郷ながら恨めしく思う。確かにそうだが。。。真犯人は以外な人物でした。 今作を気に入った方は幕末維新の暗号もオススメします。
幕末の石工?
英国諜報部すなわちフリーメーソンが明治維新の黒幕であったという新説。坂本龍馬は土佐藩と英国のダブルエージェントであり、武力革命を推進したい勢力に暗殺されたとする。フリーメーソンはその理想とする自由、平等の思想から各国の革命を影で操っており、日本にもその影響が及んだとする。おそらく歴史学者は相手にもしない珍説であるが、一定の説得力があるのが不思議なところ。確かに作者のロジックでいけば、謎とされる歴史的な事件に腑に落ちる説明がつくのように見える。ただそれは現代からみた結果論というそしりを免れない。第一歴史ないし我々のもつ龍馬の英雄像のロマンが失われる。やはり我らが龍馬は純粋に日本を救おうと奔走してくれなきゃ。
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毎回楽しみに読ませてもらっています。 しかし今回の話については、正直、前作の「操られた竜馬」とあまり変わりがなかったような気がします。もっと斬新なモノを期待していたのですが。
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主観的
この方の著書を何度か拝読してきましたが、 子供向けの本にすら、本人の左翼的な主観が入っています。 この本も例外ではありません。 事実だけを淡々と述べてくれればいいものを 主観が入りすぎていて、公平性に欠けると感じました。 従って★1です。
日本現代史を学ぶ決定版!! 超オススメです
戦後からバブル前までの日本がどのように復活を遂げてきたのか、その光の裏にある影の部分にどんなものがあったのかについて、丁寧に書かれています。現代史を概観できると共に、それぞれのパートでとても考えさせられる内容になっていて、各章を読み終わるたびにもっと深く知りたいという気持ちにさせられます。是非読んでみてください。
「日本」を知る。
大人になると自然と政治経済が理解出来るようになっている、身についているものだと子供の頃は漠然と思っていた。 しかしこちらから歩み寄らなければいつまでも何も身につかないのは道理で。 単語で聞いたことはあるがそれは何かと問われればイメージでしか浮かんでこない、それぞれの事象を点として理解はしているがそれが線にならない。 そんな人にこそ是非手に取って頂きたい。 堅苦しい言葉で埋め尽くされた書物だけが必ずしも良書とは限らない。 大人も子供も皆が理解しやすい様配慮された本書は正に良書だと言える。 本書冒頭「はじめに」で池上氏が取り上げているリルケの言葉が印象深い。 『遠く過去となってしまった人々も私たちの内に在るのです、素質として、私たちの運命の上の重荷として、ざわめく血潮として、また時の深みの中から立ちのぼってくる姿態として』 『』部分は抜粋。
知っておくべき内容だと感じた
日本の戦後で大きい話題となった事項について分かりやすく書かれています。 それぞれの出来事は覚えているのですが、歴史的背景とつなげることにより理解が深まりました。 今現在の日本を知る上で戦後の出来事を理解しておくことは非常に役立つと感じました。
点が線になり面になる
戦後のいろいろな出来事を「自衛隊」「安保条約」「日教組」「沖縄」「田中角栄」などテーマを絞って解説してくれています。 私にとって、それぞれの事件・事象は「点」で知っていても、それがどういう流れの中で起きたのかは整理でないままでいました。本書のシリーズはテーマを絞って「線」を作ってくれ、結果的にわたし自身の中に戦後の歴史に関して「面」を形成させてくれるます。 歴史を語るとき、その時代の価値観を理解しなくてはいけないと言いますが、冷戦・安保・社会党など、今の若い人たちに説明しにくい時代の雰囲気も伝えてくれます。 「日教組」を「にっきょうぐみ」と読む若い人もいるそうで笑えましたが、それが時代の変化なのかなとやや寂しさもあります。
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ぐいぐい引き込まれる!
ヨーロッパ、ハプスブルク家、 という響きからは華やかで手の届かない優雅な世界をつい想像してしまいがちです。 しかしながらこの本を通して華やかさの舞台裏を覗き見る事が出来た様な感覚に陥ります。 例えば王女ファナ。 その置かれた立場の複雑さから精神に異常をきたしてしまい、亡き夫の亡骸とともに荒野を幾日にもわたってさすらう。 それも大勢の従者を引き連れて・・・。そして最終的には人生の多くを幽閉されて過ごすという、通称「狂女ファナ」。 彼女が送った激しい人生のストーリーを読んだ後に荒野をさすらう彼女の絵を見るとそれはそれは鬼気迫るものが伝わってきます。 絵を見ただけでは「なんだか不穏なものを感じる」としか思いませんでしたが、中野さんが紡ぎだす物語を読んだ後に見た絵はとても味わい深くなっています。 全ての絵が同じ様な具合に、読み進めた後に戻って眺めると、「おぉ、確かにそんな雰囲気が出てるわぁ」とか「そういう意図がこめられているのね」と味わい深く眺める事が出来ました。 それにしても、ヨーロッパの様な他民族・多言語社会のトップに立つ上で絵画というものの役割は大きいんですね! 道理でヨーロッパの絵画は充実してる訳だ!と思いました。
文章が非常に面白い
本の表紙からは想像できないですが中身は西洋の人物画が多く取り入れられています。紙の質も良く、個人的には光文社新書じゃなくて普通に単行本としてもよいのにと思いました。 タイトルに12の物語とありますが確かに本書は12章にわかれています。しかし文章が面白いと書いたとおり物語が完成していて、各章の区切りを全く意識せずに最後まで読み切ってしまいました。 章の最初にはライトを当てた人物が描かれた風景画や肖像画が美しくのせられて、文章の中で歴史と絵の説明を交えながら解説してくれます。それによって人物への印象も深まり、最初はただの絵だと思っていたものに実はそんな意味が含まれていたのかと驚きやそれを描いた芸術家の才能の片鱗を感じるのです。 マリー・アントワネットのところでは彼女の結婚契約書の写真を例に、彼女のサインだけが字がだんだんと右下がりになっておまけに黒インクをたらした跡もはっきり写っていて、作者の文章ともに興味深くも面白いなーと。 他にもP110.「イギリスではフェリペ2世の妻メアリー女王が、ブラッディー・メアリーぶりを発揮して、プロテスタントたちの首を切りまくっている時代なのである。」など、文章の歯切れがよいというか読んでいて面白いですね。 とても面白く、そして優れた本だと思います。 最後に、菊池良生の「神聖ローマ帝国」を読んだ上でこれを読んだのでいろいろ知識の補完にもなりました。逆にこれを読んだ方は神聖ローマのほうもストーリーに関連がありますし、どちらも優れた名著ですので読むことをお勧めします。
ハプスブルク理解の一歩目としてオススメ
高校世界史教科書ではハプスブルクの記述が少ないので「ドイツ」史が少々理解しにくい。 その間隙を埋める最初の一歩としても本書は適当なものだと思う。教科書を一通り読んだ程度の知識で読める手軽な歴史本だと思う(いや、逆に教科書を後に読む方がいいかも)。絵画も知れるしお得。 僕は政治史関係は初めて読んだのだけど、難しくなく、一気に読めた。 「ハプスブルク」という言葉がこんなに重み(重苦しさ?)のあるものだとは(最後まで読み終えて閉口した)。 幸不幸は簡単に判別のつくものではないが、総じてハプスブルク家には不幸な人が多かったような気がした。 もっと本を読んでハプスブルク理解を深化・多角化したいと思った。
ハプスブルク家を中心にしたヨーロッパの歴史早わかり+名画の味わい
ハプスブル家を軸にヨーロッパ(メキシコまで筆は及ぶ)の歴史を12章に分けて12の絵(デューラー、ティツィアーノ、ベラスケス、マネ等の作品)から説き起こす、優れた入門書。200頁ちょっとで様々な絵が随所に配置されており、文章の量は多くないが、内容は濃い。扉の絵それ自体の見所や歴史的位置づけはもちろん、その絵の主人公の生涯を中心に、各章の時代の出来事や様々な人物の興味深いエピソードが盛り込まれ、ハプスブルク家の勃興から衰退までの650年を、周辺国の事情とともに簡潔に大変読みやすい文章で記している。12章の扉の絵にはハプスブルク家ではないプロイセンのフリードリヒ大王が含まれているが、これは好敵手との関係を中心にマリア・テレジア及びその時代を述べるためで、女帝の肖像画も掲載されている。 入門書でありながら、フリードリヒ大王がフランス語しか使わなかったことや、ハプスブルク家の血をひくナポレオン2世の生涯等は本書で初めて知った。本書がわかりやすいのはやはり絵の力。例えば、フェリペ2世と結婚したイングランド女王メアリー1世、ライバルとなったエリザベス1世等の肖像から、その人となりが自ずと浮き上がる。カール5世の存在感は抜群だ。そういう絵の力を改めて感じた。 カラーの図版は美しい。「ラス・メニーナス」が見開き2頁にわたり、一部見にくい部分があるのが唯一惜しまれる。華麗な一族に関心を持った人には、江村洋氏の「ハプスブルク家」「ハプスブルク家の女たち」を薦める。
ハプスブルクの歴史もわかる内容でした。
ミュージカル「エリザベート」を観て以来ハプスブルク家には興味があり、購入しました。マリー・アントワネットやエリザベートの時代に行き着くまで、こんなにも長い歴史があったとは、この本を読むまで知りませんでした。絵画の向こうにあるものが少し垣間見れたようで面白かったです。
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本書の上巻では若く初々しかったファインマンの姿に触れることができるが、下巻では、成長したファインマンが1人の「物理学者として」物理のみならず社会や芸術とかかわってゆくさまに触れることができる。 どんなに権威者になっても(彼はそう呼ばれるのを何よりも嫌ったが)、彼は決して物理学者としての誠実さを変えることはなかった。サバティカルでブラジルの国立研究所に滞在した彼は「教科書を丸暗記するだけ」の物理の大学教育に業を煮やし、ブラジルの「お偉方」の大学教授たちの前で「この国では科学教育が行われていない」と言い放った。またあるときは、学校教科書の選定委員としてすべての教科書に目を通し、教科書の内容が科学的誠実さを欠いているのを真剣に怒り、他の委員たちと闘った。 彼の信条でもある「好奇心」は年齢を重ねてもとどまる所を知らず、カジノではプロの博打うちに弟子入りしたり、ボンゴドラムでバレエの国際コンクールの伴奏をしたり、また、幻覚に強い興味を持った彼は、旺盛な好奇心からアイソレーションタンク(J.C.リリーが発明した感覚遮断装置)にまで入ってしまう。彼は他人のことなど気にとめず、素直な心で物事を見つめ、興味をひかれたらそれに夢中になる。彼は何より人生を楽しみ、人生を愛していた。 そんな彼の書いた本書に触れていると、いろんなことを話したくってうずうずしている彼が、目を輝かせて楽しそうに自分に向かって話しかけてくれているような気分になる。そんな気分にさせるのは、大貫昌子による素晴らしい訳のおかげでもあろう。訳者はファインマンと親交があり、彼に相談しながら翻訳作業を行っているため、原文の持ち味が十分に表れている。(別役 匝)
【くちコミ情報】
前向きリチャード・ファインマン
このノーベル賞物理学者は、私が高校の頃英語の教科書に出てきました。それでたまに思い出す存在になっていました。 この人は第二次大戦で米軍にわりと積極的に協力して、マンハッタン計画にも参画しています。そのことについてはべつにそれほどはやましさを感じていないようです。 そのことは日本人としては違和感を感じもするけれど、とにかく本人は前向きで好奇心旺盛です。いたずらをしたがる人物だったようです。MITでドアを外して隠したり、イタリア語の物真似をしたり、催眠術にすすんでかかろうとしたり、アリの行列をわざと作ったり。 なかでも金庫破りの章は驚きでした。 地位や外見にこだわる人ではなかったようです。 バーで酔っぱらいにからまれる辺りでも、喧嘩をすることなんて滅多になくても、殴られた後大学でわざと不良っぽくふるまってみたり。 一番心に残ったのは、スランプの時に抜擢話が持ち上がってこのように思ったというところ。 「自分は自分以外の何者でもない。他の連中が僕をすばらしいと考えて金をくれようとしたって、それは向こうの不運というものだ。」
愉快!痛快!
物理学者としてのファインマンさんの凄さは私ごときにはさっぱり検討もつきません。 でも、ファインマンさんが人としていかに魅力的で、人生をいかにして喜びで満たしてきたかはよーくわかりました。 (上巻)ではファインマンさんがまだ小学生だった頃の話や大学へ入ったばかりの頃の話も出てきます。 ラジオをいじって楽しんだり、なじみのレストランでチップを使ったいたずらをしたり、大学の寮では寮生の部屋のドアを隠したり。 (下巻)では大人になってからのエピソードばかりですが、ファインマンさんの凄さは加速度的に増しているように感じました。 ファインマンさんは物理学者として早くから一流の道を歩んでいたようですが、 ストリップバーに通ったり、そこが訴えられたときは証言者として立ったり(有名大学の教授なのに!)、 絵にはまったり、ポルトガル語を勉強したり、打楽器にはまったり、蟻を観察したり、 とあまり関連性がない事にもどんどん首を突っ込み、様々な事を積極的に楽しんでいるようでした。 そして持ち前の探究心、追求心でもって関わった物事に着いては大真面目に取り組んじゃいます。 徹底して取り組むから、きちんと上達する。ほんと、お見事です。 物理学者としてだけでも多くの人が歯が立たないくらい超一流であるにも関わらず、 それを鼻にかける事なくあくまで一魅力的人間であり続けるファインマンさんはとっても素敵です。 上下巻共に、短めから長めまで、色んな愉快なエピソードがちりばめられています。 面白くてクスクス笑ったり、頭の良さに感心したり、ともかく気分よく読み進められます。 素直にスクスク、自らの強みや好きな事を大切に育て上げて来た人なんだなぁと思います。 身近にこんな人がいてくれたらさぞかし楽しいだろうなぁと思います。
物理のことなどほとんど書いていない!
リチャード・ファインマンは知らなかったのですが、とても楽しかったです。 本書の中で印象に残ったのは、ファインマンさんでさえも 物理に対してモチベーションが下がった時期があったんだなぁと いうところです。 しかしそれはファインマンさん。 「物理で遊んでいたのが本来の自分」と初心に戻り、 再びモチベーションを上げていきます。 空中に舞った皿を見て、その法則を見つけ出し、人から 「そんなこと、意味あるの?」と言われても、楽しいから いーじゃん、みたいな感じのスタイル。 (その皿が、後のノーベル物理学賞に繋がったと聞きます) 下巻はまだ読んでおりませんが、下巻もぜひ読みたいと思います。
ファインマンさん最高!
「考えるだけでラジオを直す少年」という章を読んだとき、やっぱり天才は 違うよな、凡人とは違うんだな、って思い始めて、才能に恵まれた人の書い ていることだと思い始めたら、だんだん読むのが嫌になってきました。 でも、読み続けていると徐々にファインマンさんの魅力に引きずり込まれて、 結局全部読むことになってしまいました。 下巻は上巻よりもさらにくだけた内容になっています。絵画や音楽など、物 理とは関係の無い世界でも人に認めてもらえるまでになるのはすごいなと素 直に思いました。物事の本質を捉え、何でも試してやってみる、最近現地現 物などという言葉を聴きますが、それを何十年も前に実践していたファイン マンさんに脱帽です。
いたずら大好きの大人
量子物理学で、ジョークが大好き、いたずら大好きのファインマンの本です。この本を読んでいると、ファインマンのファンになってしまいそうです。本日は、この本から一流の科学者に関するエピソードを紹介します。 ロスアラモスで原爆の開発に参加しているとき、コンプトン、トルマン、オッペンハイマーという有名な科学者と一緒に若いファインマンも会議に参加したときのエピソード。 この会議のメンバーは、皆それぞれ新しい事実を考えにいれて実にさまざまな意見を発表していながら、一方ではちゃんと他の連中の言ったことも覚えているのだ。しかも最後には一人一人の意見をもう一度繰り返して聞かなくても、それをちゃんとまとめて誰の意見が一番良い、と決めることができるのである。これを目のあたりに見て僕は舌を巻いた。本当に偉い人とは、こういう連中のことを言うのに違いない。 一流の科学者は、自分の意見を言いつつも、もっとも適した答えを誰が言っているのかを考えているというところに感心します。
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「はじまってしまった戦争」の恐ろしさを
近現代史の第一人者が、自らの体験談としての「東京大空襲」を語る事と共に、当時の客観的な状況を踏まえ、悲惨な「戦争」をなくすためにはどうすれば良いかを語りかけてきます。 体験談とは言うものの、文章に気負いは見られず、冷静な第三者的な語り口になっています。 それは作者も語っているように「言葉にだしていうと、やや自慢話というか、勇敢な少年のように自分を美化して語って」しまうのを極力避けようと言う試みであり、そうしたことが「戦争そのもののあやしげな魔力」と結びついてしまうことを避ける意図もあったのでしょう。 更に、自ら冷静な第三者たらんとするためか、自らの恋愛や父親の愛人の話も挿入しています。 そうした冷たい視線を通した語り口によって、この本全体があたかも「小説」であるかのような趣も持っています。 しかし、その「冷静さ」が、そこに「客観的に」描写されている戦争の被災状況を一層悲惨なものにしており、胸に迫ってきます。 一方、作者は、「被害者」が「傍観者」や「加害者」になる危険についても指摘しています。 この本は、「はじまってしまった戦争」の恐ろしさを語っているとも言えます。 その前に何をなすべきか? これが問題なのだと語ります。 そしてそれは、「自分たちの生活のなかから“平和”に反するような行動原理を徹底的に駆逐する」ことだとします。 常に戦争について考え、そうならない様に行動することしか、「戦争」は防ぎえないと言うことでしょうか。
筆者の背骨を見た。
半藤一利といったら、昭和史もの、である。 金融恐慌から15年戦争に突入していった日本という国を書かせたら、一番冷静な筆致で書ける人だと思う。 その人が書いた自身の戦争体験記だ。10歳そこそこで戦争が本格化し、1945年の東京大空襲を迎える。向島に住んでいた筆者は命からがらで逃げ抜ける。その原体験が今に至るまでの仕事の原点にあるのではないか。 何で、こういう不条理なことが起きるのか、という。 カーチス・ルメイに指揮官が替わって、日本への空爆のスタイルも一転する、そのあたりを探る下りは、面目躍如だろう。何でこんな目に遭わなくてはいけなかったのか、という1点の疑問を解決するために、営々たる研鑽を積んできたというべきか。 あの焦土と化した東京を直視した者として、戦争につながるような1点の曇りも見逃さず、許すまいという決意、それを振り払わなくてはいけないという気構えの原点を見た気がした。 筆者はどこかで得意げな英雄じみた話になるのが嫌で触れてこなかったテーマだという。でもこの本で書いたことは、それまでの筆者のいろいろな本で書いていることの基調低音にほかならない。 そこは歴史探偵と自称する筆者のことだ、勤労動員先での女学生との儚い恋物語あり、父君の特殊関係人の話ありと、ゆるめるところはゆるめての話の展開は間然とするところがないのはさすがというべきだろう。大上段に振りかぶった本とはひと味違った、この筆者の持ち味の出たいい本である。
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